バンブーズブログ

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[社説]大地震の二次災害を防ぎ救助と支援急げ


 
 

2024/1/3 2:00
 
能登半島地震では、古いビルや家屋が倒壊したほか、火災が発生し、大きな被害が出た=共同
石川県で最大震度7地震が起き、家屋やビルの倒壊、火災が相次いだ。建物や土砂の下敷きになると、発生から72時間までの救出が生死の分かれ目となる。二次災害に注意しながら、政府や自治体は情報収集と不明者の救助、被災者支援に全力を挙げてほしい。

被災地では死者数が増え続け、けが人も多数いる。大津波警報が出され、珠洲市などで建物が流されて倒壊した。元日の夕刻の発生だったため、被害の全容把握が遅れたことは反省すべきだろう。

能登半島では2020年末から群発地震が増えた。気象庁は今後1週間は最大で震度7程度の地震の恐れがあると呼びかけている。余震が多いのが特徴で、最初の地震から半日で100回を超えた。

04年の新潟県中越地震や16年の熊本地震のように活動が長引く可能性もある。住民は単独行動を避け、傷んだ建物や急傾斜地に不用意に近づかないようにしたい。

道路や橋が通行止めになり、孤立した集落も出ている。厳しい寒さの中の避難生活は過酷となる。安全な場所の確保とともに、低体温症への対策が欠かせない。関係機関には毛布など防寒具や暖房用の燃料、飲料水、食料などの素早い補給が求められる。

地震後はX(旧ツイッター)などSNSを通じ、助けを求める情報や被災現場の動画も拡散された。中にはデマとみられる悪質な投稿もある。誤情報の流布は生命すら脅かしかねない。利用者は無責任な行動を厳に慎むべきだ。

北陸地方は古い建物が多く残り、石川県は商業施設など大規模建築物の耐震化率が全国でも下位だ。大規模な火災が発生した輪島市では水道管が破損し、消火活動が遅れたと指摘される。

建物やライフラインの耐震性を高める対策は十分だったか。避難の誘導と受け入れ体制、備蓄する物資は足りていたのか。全力での被災者支援と並行し、今後の検証が欠かせない。

2日夕には羽田空港日本航空機と海上保安庁の航空機の衝突事故が起きた。海保機は被災地への物資搬送のため新潟へ向かう予定だったという。災害対応中に事故が起きたのは極めて残念だ。

南海トラフ巨大地震の発生が近づくと、内陸部で断層のひずみが蓄積し、西日本を中心に地震活動が活発になるとされる。対策に抜けや死角はないのか。今回の地震を機に備えを再点検すべきだ。