バンブーズブログ

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[社説]皇室の将来見据えた継承策を


 
 
#社説 #オピニオン #令和の皇室
2024/1/3 2:00
 
皇室の将来像を国民全体で考える必要がある(2023年12月23日、新年を前にした天皇ご一家)=宮内庁提供
令和も6年を迎えた。皇族数の減少にどう歯止めをかけるかの検討を続けてきたにもかかわらず、具体的な方策はまだ見えてこない。安定した皇位継承策を探る議論を本格化させるべきである。

上皇さまの退位に伴う2017年の皇室典範特例法の付帯決議は、皇位継承策について政府に速やかな検討を求めた。

これを受けた政府の有識者会議は21年末、女性皇族が結婚後も皇族にとどまることや、旧皇族の男系男子を養子にすることを主な案として提示した。だが、その後の国会での議論は停滞している。女性天皇の是非など、別の選択肢の検討も進んでいない。

悠仁さまのさらに先の世代を見据えた皇位継承のあり方の本格議論には「時期尚早だ」との声がある。果たしてそうだろうか。皇室制度をめぐる検討作業は、慎重に手順を踏む必要がある。「まだそのときではない」と先送りする余裕はないと考えるべきだ。

自民党は総裁直属機関として「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」を立ち上げ、議論を進めている。各党がそれぞれに検討を深め、試案を持ち寄って意見調整するプロセスは極めて重要だ。

同時に欠かせないのが開かれた議論である。皇室への国民の視線は時代とともに変化してきた。近年のいくつかの世論調査女性天皇容認論が多数を占めていることも、多様性を重んじる現代社会の考え方の表れだろう。

一部の案を限定されたメンバーだけで話し合っても、幅広く支持される青写真は出てこまい。政治は国民の率直な声を虚心坦懐(たんかい)に聞きながら検討を進めるべきである。

今後の皇位継承のあり方を長く気に掛けてきた上皇さまは90歳を迎えられた。若い皇族方も着実に年齢を重ねられている。

皇室の伝統と安定、皇族の方々の理解をどう調和させるのか。日本社会として制度を大事に守るのなら、私たち一人一人がその将来像を真剣に考える必要がある。