バンブーズブログ

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イオンが営業最高益 24年2月期、PB好調で上方修正


 
 
#業績ニュース #企業業績・財務 #マーケット
2024/1/12 15:30 (2024/1/12 17:44 更新)
 
イオンは2024年2月期に営業最高益を更新する見通しだ
イオンは12日、2024年2月期の連結営業利益が前期比14%増の2400億円になりそうだと発表した。20年2月期以来、4年ぶりに最高益を更新する。5%増の2200億円を見込んでいた従来予想から200億円上方修正した。物価高の中で消費者の節約志向を捉え、プライベートブランド(PB)商品の販売が伸びる。

売上高にあたる営業収益は4%増の9兆5000億円、純利益は54%増の330億円を計画する。従来予想からそれぞれ1000億円、80億円引き上げた。営業収益営業利益率は2.5%と0.2ポイント改善する見込み。

 
同日発表した23年3〜11月期の連結業績は営業収益が前年同期に比べ5%増の7兆258億円、営業利益は27%増の1428億円、最終損益は183億円の黒字(前年同期は36億円の赤字)となった。営業収益と営業利益は過去最高となった。

総合スーパー(GMS)を含め8事業のうち5事業の営業損益が改善・増益した。従来、営業利益の構成比では総合金融やショッピングセンター(SC)開発など非小売部門が7〜8割を稼ぎ、小売部門の収益改善が課題になっていた。だが、23年3〜11月期には小売部門の利益構成比が45%となり、中期経営計画で掲げた26年2月期の同52%の目標に残り7ポイントと近づいた。

GMS事業の営業損益は12億円の赤字だった。9月以降も暖かい日が続いた影響で冬物の衣料品の販売が振るわなかったが、前年同期(148億円の赤字)から大幅に縮小した。食品スーパー事業の営業利益は約3倍の218億円、ディスカウント店事業も約5倍の60億円となった。

いずれも業績をけん引したのはPB商品だ。PB「トップバリュ」の売上高は7402億円と前年同期から11%伸びた。24年2月期通期では1兆円に達して過去最高を更新する見込みだ。

相次ぐ食品などの価格引き上げで消費者の「値上げ疲れ」も出てきている中、イオンは23年9月と12月に計60品目のPBを値下げした。またディスカウント店専用として冷凍野菜など商品分野別に24種類の大容量PBを開発し、節約志向を取り込んだ。

 
イオンの高付加価値型のPBも若者らに売れているという
一流シェフが監修したチルド食品など、高付加価値型のPBも人気を集めた。高価格帯だが、メーカー品と比べ相対的に割安感がある。GMSでは9〜11月期の顧客1人当たりの買い上げ点数は前年同期に比べ3%減ったが、客数は横ばいで既存店売上高は3%増えた。

人流回復が続き、SC開発事業の営業利益は3〜11月期で前年同期比4%増、映画館などのサービス・専門店事業は約2倍になった。

利益の重荷になったのはドラッグストア、総合金融、海外の3事業だ。前年同期に新型コロナウイルスの検査キットなどが好調だったウエルシアホールディングスで反動減があり、ドラッグストア事業の営業利益は1%減った。総合金融は広告宣伝の販売促進費の増加、海外事業は東南アジアのインフレに伴う景気悪化の影響をそれぞれ受けた。

24年春には40万人のパート従業員の時給を平均7%引き上げる方針を決めた。人件費もかさむ中で、一層の収益力向上が必要だ。市場では「値上げフェーズが一巡し、今後はPBによる集客力をさらに高めて買い上げ点数を増やせるかがカギとなる」(岡三証券の金森淳一シニアアナリスト)との声がある。

GMS事業では衣料品の在庫圧縮やセルフレジなどのデジタル化といった構造改革を進めてきた。23年11月末にはいなげやに対するTOB(株式公開買い付け)が終了し、連結子会社化した。24年11月までにイオン傘下で「マルエツ」などを展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスと経営統合する予定で、PB販売の拡大など相乗効果も期待される。

(浅山亮、大道鏡花)