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正念場迎える日米韓安保協力

社説]正念場迎える日米韓安保協力
 
 
#北朝鮮 #社説
2024/1/15 19:00
 
北朝鮮が核・ミサイル戦力の強化に拍車をかけている(14日に発射した中距離級とみられる弾道ミサイル)=朝鮮中央通信・共同
北朝鮮が核・ミサイル戦力の強化に拍車をかけている。日米韓3カ国は緊密な連携にわずかな隙も生じさせてはならない。

北朝鮮は15日、極超音速ミサイルを14日に試験発射したと公表した。変則軌道で音速の5倍以上の速さで飛ぶ兵器だ。奇襲能力の高い固体燃料を使った中距離級の弾道ミサイルであれば、日本本土が攻撃圏に入るうえ、迎撃が難しいため危険度はさらに高まる。

昨年末の朝鮮労働党会議で、金正恩総書記は今年に3基の軍事偵察衛星を追加で打ち上げるとし、核兵器の増産にも言及した。韓国への敵意をあらわにし、南北統一をめざす方針など従来の対韓政策を根本的に転換するとした。

年明けには韓国との海上軍事境界線付近で、3日連続の大規模な砲撃に踏みきった。南北間で緊張が高まり、局地的な衝突への警戒が必要になっている。

米国全土を射程に入れる大陸間弾道ミサイルICBM)も昨年末に発射している。米韓に直接的な脅威を与えて双方の国内世論を揺さぶることで、両政権の強硬路線をくじく狙いがみえる。

金正恩氏は一方で外交に力を入れている。中国の習近平国家主席と新年の祝電を交わし、国交75年の今年を「朝中親善の年」と位置づけ関係を強める意向を伝えた。崔善姫外相は15〜17日の日程でロシアを訪れる。中ロの支援が欠かせない苦境は隠しきれない。

台湾総統選で民主進歩党の頼清徳氏が当選し、中国が台湾への圧力を強める恐れもある。今年は4月に韓国総選挙、11月に米大統領選もあり、日米韓の結束が正念場を迎える。選挙結果にかかわらず後戻りしない安全保障協力の基盤を築いておくのが重要だ。

金正恩氏が能登半島地震について岸田文雄首相に見舞いの電報を送り、林芳正官房長官が謝意を示した。首相は日朝問題で「あらゆる機会を逃さない」と繰り返してきた。北朝鮮への圧力とともに懸案の解決と地域の緊張緩和に向けた対話や外交も成果が問われる。