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民間の力を生かす持続的な被災者支援に

[社説]民間の力を生かす持続的な被災者支援に
 
 
#能登半島地震 #社説
2024/1/15 19:05
 
仮設住宅の建設は始まったが、避難の長期化は避けられない(14日、石川県珠洲市) =共同
能登半島地震は発生から2週間がたち、被害の深刻さが増している。孤立地区がなお残り、避難所での災害関連死も増え始めた。断水や停電の復旧は遠く、生活環境のよい地域に2次避難を急ぐ必要がある。

避難生活は長期化が避けられず、被災者支援にも持続力が必要だ。被災地でのボランティア活動の解禁などをにらみ、行政だけでなく、企業やNPOなど民間の力を生かした持続性の高い支援体制の構築を考える時期である。

地震被害の全容はなお判明していない。山間部では崩れた土砂が流れをせき止めた土砂ダムが各所にでき、崩壊の危険がある。損傷した家屋が積雪の重みで倒壊する恐れもある。さらなる被害拡大は防がねばならない。

死者は220人を超えた。安否不明者がまだ約20人おり、捜索を尽くしてほしい。死者のうち避難中に亡くなる災害関連死は2ケタに達し、今後も増える懸念がある。高齢者や障害者のように被災の影響を受けやすい人々も少なくなく、個々の事情を考慮しながら、2次避難を加速させるべきだ。

慣れない土地に移った被災者には心身両面のケアが欠かせない。これはNPOが得意とする分野であり、東日本大震災などで実績を積んだ支援団体は多い。被災地に入れないNPOやボランティアも2次避難先では支援に回ることができる。こうした民間の力も借り、災害関連死を防いでほしい。

石川県輪島市などは仮設住宅を着工した。一部は早ければ来月にも入居できる見込みだ。それに伴い、石川県では復興に向けた議論が始まりつつある。震災復興の議論では、拙速な結論は禁物というのが東日本大震災の教訓である。

東北では原状復旧を急ぐあまり、巨大な防潮堤を建設しても住民が戻らなかったり、人口減少を考慮せずに元に戻したためインフラ整備が過大になったりした。

能登では水道や道路、漁港などをどこまで復旧するかが課題になろう。そこでは居住や仕事をこれまで通り続けるのか、住民の意向を何度も確認しながら丁寧に議論することが欠かせない。

石川県には水道ではなく、循環型の水環境システムといった新技術を採用する考えもあるようだ。こうした構想も含め、能登の復興はどのような姿をめざすのか、地域が主体となって、しっかり議論することが大切である。