バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

《分割株式関連》3月末に1株を10株に分割すると発表した

三菱重工が初の株式10分割 4〜12月の純利益は過去最高
 
 
#自動車・機械 #ビジネス
2024/2/7 2:00
 
高効率な発電用ガスタービンが好調に推移する
三菱重工業は6日、3月末に1株を10株に分割すると発表した。株式分割は1950年の上場以来初めて。投資に必要な金額は現在の100万円強から10万円台に下がる。投資しやすくすることで株主層を広げる。

同日発表した2023年4〜12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比2.1倍の1380億円だった。四半期決算の開示を始めた04年3月期以降で4〜12月期としては最高となった(18年3月期までは日本基準)。

3月31日は日曜日のため、実質的に3月29日を基準日として分割する。6日終値は10755円。売買単位は100株のため、現在は投資に107万円必要となる。10分割すると11万円弱から投資が可能になる。

東京証券取引所は上場株の望ましい最低投資額を50万円未満としている。同日記者会見した小沢寿人最高財務責任者CFO)は自社の個人株主で高齢化が進んでいると分割の背景を説明した。「株主層の多様化を進めたい」と、投資単位を引き下げることで株主が若年層に広がることへ期待を示した。

上場企業では株式分割の動きが広がっている。日清食品ホールディングスやスズキなどは上場以来初の分割を決めた。1月からは新たな少額投資非課税制度(NISA)が始まった。投資に必要な金額を引き下げて、個人の投資意欲の高まりに対応する。

 
業績は好調だ。4〜12月期の売上高にあたる売上収益は11%増の3兆2606億円、本業のもうけを示す事業利益は82%増の1916億円だった。

けん引役はガスタービンや航空エンジンなどの「エナジー」で、事業利益は2倍の775億円に拡大した。ガスタービンの排熱を使って蒸気タービンも回す「GTCC」と呼ぶプラントが伸びた。

原材料高の価格転嫁も利益を押し上げた。フォークリフトや冷熱機器など中量産品事業の事業利益は2.6倍の588億円だった。新型コロナ禍からの航空機需要が回復し、米ボーイング向けの航空機部品も伸びた。

米航空防衛大手RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が開発するエンジン「PW1100G」の品質問題に関して、200億円弱の損失が発生した。一方で為替の円安は150億円の増益要因となり、エンジンの損失を吸収した。

24年3月期の業績見通しは売上収益と受注高を上方修正し、事業利益と純利益は従来予想を据え置いた。純利益は前期比46%増の1900億円と過去最高になる見通し。

売上収益は5%増の4兆4000億円と1000億円引き上げた。高炉から二酸化炭素(CO2)の排出が少ない電炉への置き換えが進むなか、製鉄機械が堅調に推移する。

受注高は33%増の6兆円と従来予想から4000億円引き上げた。高温ガス炉など研究関連で原子力事業の受注が伸びる。ミサイルを中心に防衛事業も好調だが、収益貢献は来期以降となる見込み。

取引時間中の決算発表を受け、東京株式市場では三菱重工株が一時前日比665円(7%)高の1万770円まで上昇した。終値は6%高の1万755円だった。

株価は上昇基調で1年間で約2倍となっている。防衛予算の増額や原子力の積極活用など政府の方針転換を受け、将来の収益拡大への期待が高まったことが大きい。

市場では来年度からの新たな3カ年の中期経営計画に注目が集まる。JPモルガン証券の佐野友彦氏は売上高の拡大だけでなく利益率の向上が必要だとし、「中長期的に必要な事業と不要な事業を選別し売却もすべきだ」と指摘している。

【関連記事】・三菱重工、防衛宇宙事業1兆円に倍増 予算増額が追い風

三菱重工、蓄電池システムの米新興に出資