バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]乱立の政府基金に強い規律を


 
 
#社説 #オピニオン #税・予算
2024/2/27 2:00
 
基金の点検を強化する方針を決めたデジタル行財政改革会議で発言する岸田文雄首相㊧(2023年12月20日首相官邸
政府のデジタル行財政改革会議が、新型コロナウイルス禍を経て乱立が目立つ国の基金を厳しく管理する方針を決めた。基金は中長期にわたる政策向けのいわば「積立金」だが、監視が届かず統治の乱れが著しい。強い規律を効かせ、成果の点検を尽くすべきだ。

政府の基金は複数の年度にわたる政策を機動的に進めるために設けている。新型コロナ対策が急がれた2020年度ごろから設立が急増し、22年度末の残高は16兆円と巨額だ。中小企業の資金繰り支援、農家の設備投資支援のための基金で終了時期を明示しないなど不透明な執行の例が多い。

23年12月に見直しの方針を決めた。基金への新たな予算措置は最大3年とし、増額は成果を見て決める。基金の終了期限を明確にする。各省庁が基金の管理体制をしっかり築く。どれも当たり前で、遅きに失したともいえる。

政府が23年秋に決めた総合経済対策でも、宇宙産業の技術開発に向けた基金の新設や、既存の基金の積み増しなどが相次いだ。日本の競争力強化へ不可欠な事業もあろうが、運営の見直しを掲げる以上、非効率で不透明な管理を続けることは許されない。

国際通貨基金IMF)も今年2月の対日経済審査で、国の基金の約3分の1で終了年度が明記されず、弱い統治が歳出の非効率や予算の規律低下につながったと批判した。経済対策の規模を大きくみせようと、補正予算基金を乱発する悪弊は断ち切るべきだ。

政府は基金の設定時に数値も盛り込んだ達成目標を設けて公表させるようにする。河野太郎行政改革相は23年度末までに既存の基金を総点検し、管理費しか計上しないような「ゾンビ化」した基金を整理していく考えを示した。おおいに進めてほしい。

日本の財政はコロナ禍が一段落した後も巨額の予備費の計上や補正予算への依存が目立ち、米欧などに比べて緩みが著しい。市場の信認を保つためにも、基金の徹底した改革を怠ってはならない。