バンブーズブログ

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巨額の基金を見直し策進めて

[社説]国の基金は不断の見直しで無駄をなくせ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/25 2:00
 
政府はデジタル行財政改革会議で基金の見直し策を決めた(22日、首相官邸
チェックの甘さが指摘されてきた国の基金事業に、強い規律を効かせる一歩と受け止めたい。政府が15事業の廃止を含む見直し策を決めた。

新型コロナウイルス禍で乱立した基金は、複数の年度にまたがる政策を機動的に進めるために国が積み立てる資金だ。

いったん予算を計上すると、国会の審議を経ずに各省庁の裁量で使える。運用の実態が不透明で無駄が多いと批判されてきた。

政府が昨年秋から152基金に基づく200事業の総点検に乗り出したのは当然だ。むしろ遅きに失したといえる。

点検の結果、経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進」など11事業は支出が管理費しかなく、役割を終えたと判断した。企業などへの補助金の支払いを2023年度で終了した4事業とともに廃止する。

すべての基金残高のうち、使う見込みのない約5400億円は国庫に戻す。これだけ巨額の国費が、安易に投じられていたことにあぜんとする。さらなる点検で、基金の無駄を徹底的に洗い出さなければならない。

なにより、実効性の高い基金の運用ルールと厳格な監視体制を整える必要がある。

政府は今回廃止を決めなかった事業についても、原則として設置から10年以内に終えるルールを明確にした。

いまは終了時期を定めていない基金が全体の3分の1にのぼる。期限をきちんと設定し、成果を検証したうえで延長か廃止かを決める。そんな当たり前のルールを徹底したい。

1回の予算措置で基金に投入する資金は、最長でも3年分程度にするという。4年目以降に新たな資金を投じるかどうかは成果に応じて判断する。目標の進捗状況によっては、設置期限の前でも廃止する柔軟な運営が重要だ。

すべての基金が無駄なわけではない。基金は予算を年度内に使い切る「単年度主義」の弊害を改めるためのものだ。災害に備えたり、宇宙や半導体などの産業を育てたりといった中長期の視点が必要な政策を進めやすくなる。

それを生かす前提となるのは、客観的な成果の検証だ。各省庁に任せていては、お手盛りになりかねない。外部の有識者ら第三者を交え、厳しく評価する仕組みづくりを急ぐべきだ