バンブーズブログ

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[社説]政倫審で露呈した自民の深刻な統治不全


 
 
#社説 #オピニオン #自民政治資金問題
2024/3/1 2:00
 
衆院政治倫理審査会で答弁する岸田首相(29日)=代表撮影
自民党は派閥の裏金問題の深刻さをきちんと認識しているのか。不正会計がここまで広がった経緯の解明は後手に回り、国会対応でも執行部の迷走ぶりが際立っている。批判を受けて公開での質疑に渋々応じるような姿勢では、政治の信頼回復はおぼつかない。

衆院政治倫理審査会が29日に開かれ、岸田文雄首相と二階派事務総長だった武田良太氏が弁明した。3月1日は安倍派の事務総長経験者の塩谷立、高木毅、西村康稔松野博一の4氏が出席する。

与野党は先週、政倫審の28日開催で大筋合意した。だが自民党は「原則非公開」のルールに沿った実施を求め、野党の反発で開催が遅れた。首相が公開の場で自ら弁明する考えを表明し、傍聴やテレビ中継も認める「完全公開」での開催がようやく決まった。

政倫審は様々な疑惑が浮上した国会議員が自ら申し出て審査を受ける。過去9件で傍聴や議事録閲覧などを一切認めなかったのは1件だけだ。公開方法をめぐる調整の遅れと混乱は、自民党の深刻な統治不全を露呈したといえる。

審査の非公開は刑事訴追の恐れなど特段の事情がある場合に限るべきだ。東京地検特捜部による事件捜査と立件の判断がすでに示された今回のケースは当てはまらず、政倫審の規定も「原則公開」に見直すべきではないか。

首相は29日の政倫審で、派閥の政治資金パーティー収入の還流について①遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い②派閥側が還付金等を政治資金収支報告書に記載しないよう指導した例があった――との見解を示した。

武田氏は資金還流の詳細は「事務局長しか知り得ない」との答えを繰り返した。実態解明にはほど遠く、裏金づくりが始まった経緯や使途は今後の焦点となる。

野党側は自民党で不記載が見つかった衆院議員51人、参院議員32人(離党者を含む)の政倫審出席に加え、二階俊博元幹事長や萩生田光一政調会長らの参考人招致を求めている。参院での政倫審開催とともに調整を急ぐべきだ。

自民党は今回の政倫審をめぐり安倍、二階両派の事務総長経験者を優先した。他の派閥幹部を含め、公開の場で説明責任を果たすよう執行部は強く促してほしい。

国会での裏金問題をめぐる実態解明と責任追及を契機に、再発防止に向けた法改正の議論を与野党で加速していく必要がある。