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大統領経験者では前例がない有罪の評決は米世論を二分している。

[社説]トランプ前米大統領評決が深める米分断
 
 
#社説 #オピニオン
2024/5/31 19:00
 
トランプ前米大統領は大統領経験者として初めて有罪の評決を受けた=AP
トランプ前米大統領が不倫の口止め料を不正に処理した罪に問われている裁判で、有罪評決を受けた。大統領経験者では前例がない有罪の評決は米世論を二分している。米国の分断をさらに深めないかが心配だ。

トランプ氏は2016年大統領選に不利な情報を隠すため、不倫相手に支払った口止め料を弁護士費用と偽って業務記録に計上したとされる。ニューヨーク州地裁の陪審は34件の罪状すべてで有罪と認定した。検察側は「証拠と法に基づいた結論」と主張した。

今回の評決で懸念が2つある。一つは米国の分断がさらに加速する展開だ。潔白を訴えるトランプ氏は控訴するとみられ、ジョンソン下院議長ら共和党や支持層の多くは評決に批判を強めている。

トランプ氏は11月の大統領選に向けて共和党候補の指名を確実にしている。有罪でも立候補は可能だが、バイデン大統領率いる民主党はその適格性をさらに厳しく問うだろう。選挙戦が泥仕合の様相を強めるのは避けられない。

もう一つは米国の民主主義の信頼性に及ぼす影響だ。世論調査をみると、有罪となれば大統領選でトランプ氏に投票しないと答える有権者が少なくない。とりわけ両候補が競り合う激戦州はわずかな差が勝敗を決するだけに、評決の余波は軽視できまい。

トランプ氏が大統領選で敗北すれば、支持者らはその結果に異議を唱える公算が大きい。勝利した場合、下級審とはいえ刑事裁判で有罪となった人物が国を統べることに今度は民主党側が反発を強めるだろう。

大統領選を巡る混乱は米民主主義が機能不全に陥っているとの印象を国際社会に与える。中国やロシアは歓迎するに違いない。

ほかにも3つの刑事裁判をトランプ氏は抱えている。20年大統領選の結果を覆そうとした疑惑などだ。民主主義の根幹にかかわることを鑑みれば、今回よりも影響は重大である。裁判の進捗を注視しなければならない。