バンブーズブログ

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守りに強い日本株ファンド 「匠の技術」に注目


 
投信ランキング
#投信コラム #投信 #マーケット
2024/8/29 12:00
8月上旬、日本の株式相場は歴史的な乱高下を記録した。急激な価格変動で動揺した人も少なくないだろう。そこで国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF、DC・ラップ・SMA専用などを除く)のうち国内株式型(QUICK独自の分類)について、ある一定期間で基準価格(分配金再投資ベース)が付けた最高値から最安値までの下落率を示す「最大ドローダウン」を使い、守りに強かったファンドを調べた。

 
過去5年間(7月末時点)で最大ドローダウンが小さかった順にランキングすると、トップは鎌倉投信が運用する「結い 2101」。国内株式の中から、優れた企業文化を持ち、日本の匠(たくみ)の技術や感動的なサービスを提供する「いい会社」に投資する。ポートフォリオに占める現金の比率が恒常的に高いため(運用会社の月次リポートによると7月末時点では32.8%)、株式相場の下落局面では相対的に基準価格の下落率が小さくなる特徴を持つ。その半面、上昇局面では相場変動に追随できず、5年リターン(分配金再投資ベース)はプラス17.13%と、10ファンドの中では最も低かった。

2位はシンプレクス・アセット・マネジメントの「シンプレクス・ジャパン・バリューアップ・ファンド」。国内企業の中から、保有するネットキャッシュおよび将来キャッシュフローの割引現在価値の合計額よりも時価総額が低いバリュー(割安)株に集中投資するため、相場の下落局面でも下値余地が比較的小さいことが寄与したようだ。

3位はアセットマネジメントOneの「新光シラー・ケープ日本株式戦略ファンド(リスク・コントロール付)」。米エール大学のロバート・シラー教授が考案した、景気循環を考慮した株価収益率「CAPEレシオ」を活用する。併せて、株価トレンドや変動率に応じて株価指数先物取引でショート(売り)ポジションを構築し、実質的な株式組み入れ比率をゼロにする「リスク・コントロール戦略」を採用していることが下落率の抑制につながったと考えられる。

ランクインした10本全て、運用担当者が独自の運用方針で組み入れ銘柄を選定するアクティブ型(積極運用型)ファンドだった。

(QUICK資産運用研究所 竹川睦)