[社説]人手不足の克服へ労働移動促す改革競え
衆議院選挙2024
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2024/10/22 2:00
働き手が転職しやすい柔軟な労働市場づくりが欠かせない(東京・丸の内)
人口減少が進む日本では、労働力不足が経済成長の足かせになる。生産性を高め、成長分野への労働移動を加速させることが不可欠だ。足元で深刻化する人手不足を直視し、各政党は衆院選で労働市場改革の具体策を示すべきだ。
主要各党は最低賃金の引き上げを公約に掲げ、公明党は5年以内に全国平均で1500円を目指すという。国際水準に近づけるためにも引き上げの前倒しは妥当だが、実現への道筋が見えない。補助金拡充など中小企業への支援策ばかりが並ぶ。
持続的な賃上げは生産性の向上の裏付けがあってこそ実現する。過保護な政策は不振企業を温存し、衰退産業に人材が滞留することで経済は成長力不足に陥る。働き手がよりよい処遇を求めて転職しやすい柔軟な労働市場をつくり、社会全体の生産性を高めることを優先すべきだ。
自民党の公約はジョブ型人事の普及やリスキリング(学び直し)の推進など、岸田文雄前政権が打ち出した改革の域を出ていない。立憲民主党は成長分野への人材移動を唱えつつ、それを妨げかねない雇用調整助成金の維持を掲げるなどちぐはぐな主張が目立つ。
日本維新の会は労働契約の更改や終了に関するルールの明確化を公約に盛り込んだ。先の自民党総裁選では解雇規制の見直しが話題を集めた。どうすれば人材の流動性を高められるか、衆院選でも政党間で議論を戦わせてほしい。