バンブーズブログ

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スーダン戦闘各地に拡大、97人死亡 軍と民兵組織


 
#中東・アフリカ
2023/4/18 2:00
黒煙が上がるハルツーム中心部(16日)=AP
【カイロ=久門武史】アフリカ北東部のスーダンで15日始まった軍と民兵組織の激しい戦闘は国内各地に拡大し、17日も続いた。現地の医師団体は同日、民間人97人が死亡したと明らかにした。さらに犠牲が膨らむ可能性があり、米ロ、中国や周辺国は一斉に停戦を求めた。

軍と衝突したのは民兵組織「即応支援部隊(RSF)」。双方の指導者の権力闘争が戦闘に発展した。

スーダンでは2019年にバシル長期独裁政権が崩壊後、21年に軍トップのブルハン氏がクーデターで全権を握った。この政変で軍とRSFは共闘したが、民政移管に向けた協議でRSFの軍への統合を巡って対立し、緊張が高まっていた。

統合についてブルハン氏とRSFを率いるダガロ司令官が主導権を譲らず、武力衝突に至ったとの見方が強い。RSFは2000年代の西部ダルフール地方での紛争でバシル政権に協力した民兵組織が母体で、ロイター通信は兵力は10万人規模との観測を伝えた。

国連は双方が16日夕に3時間の人道停戦に合意したと発表したが、交戦は続いた。世界食糧計画(WFP)は16日、北ダルフール州で職員3人が戦闘に巻き込まれて死亡し、スーダンでの活動を一時停止すると表明した。

15日の戦闘開始のきっかけについては互いに責任を押しつけ合っている。RSFは同日、首都ハルツームの大統領府や国際空港を掌握したと主張したが、軍は否定した。

16日にはハルツーム近郊のオムドゥルマンで激しい戦闘があり、北東部ポートスーダンや西部ダルフール地方でも衝突があったと伝えられた。

シンクタンク、国際危機グループのアラン・ボズウェル氏は「双方は全土に基地を持っている。かねて悪夢のシナリオだった終わりない戦闘になる可能性がある」とツイッターで指摘した。

米欧のほかサウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦UAE)などが相次いで停戦を訴えた。ロイター通信によると主要7カ国(G7)外相会合のため来日中のブリンケン米国務長官は17日「深い懸念」を共有していると述べ、クレバリー英外相とともに即時停戦を求めた。国連やアラブ連盟アフリカ連合AU)も停戦を促した。

周辺国は警戒を強め、隣国チャドは15日にスーダン国境を閉鎖した。同日、サウジ国営航空機がハルツーム空港で銃撃にさらされ、同国やエジプト、UAEなどの航空会社がハルツーム便の運航を停止した。

RSFは15日、北部の町メロウェの基地で複数のエジプト軍兵士が「降伏した」とする映像をツイッターに投稿した。エジプト軍は「合同演習のため滞在する我が部隊の安全確保へスーダン当局と緊密に連携している」との声明を出した。

スーダンでは19年のバシル政権崩壊後、軍民共同統治に入ったが21年のクーデターで頓挫した。22年12月、軍と主な民主派勢力が民政移管に向けた枠組みで合意していた。