バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]国際連携の重さ映す邦人退避


 
 
#社説
2023/4/27 19:00
ジブチ自衛隊拠点に集まったスーダンからの退避邦人ら=外務省提供
内戦が続くアフリカ北東部のスーダンから、在留邦人が自衛隊機などで国外に退避した。救出作戦に目立った混乱はみられなかった。他国との連携が奏功し、希望していた邦人の出国を無事終えた点は評価できる。

2021年8月にイスラム主義組織タリバンが掌握したアフガニスタンからの邦人退避では、政府の調整不足などで自衛隊機の派遣が大幅に遅れた。この反省を踏まえ、今回はスーダン情勢の緊迫を受けて自衛隊の拠点がある近隣のジブチに輸送機を米欧にほぼ遅れずに派遣した。

現地にいた約60人の邦人のうち、45人を自衛隊機でジブチに輸送した。邦人が多く滞在していた首都ハルツームから自衛隊機が待っていた東部の空港などへの陸路移動では、アラブ首長国連邦や韓国の支援を得た。このほかフランスや国際赤十字の協力で国外に避難できた邦人もいる。

自衛隊は海外での活動に厳しい制約がある。今回のように激しい戦闘が続く地域はなおさらだ。それだけに、情報収集や救出計画で他国の力を借りられる関係を日ごろから作るのは重要だ。日本は11年からジブチ自衛官を配置し、各国とのネットワークの構築を進めた。今回の対応はしっかり検証し、不断の改善に努めるべきだ。

スーダンの治安が急速に悪化したきっかけは、ブルハン統治評議会議長をトップとする軍と、ダガロ司令官が率いる準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による4月半ばの衝突だ。民衆デモで19年にバシル独裁政権が崩壊したが、21年にはクーデターで軍が再び実権を握った。

米国やサウジアラビアアフリカ連合AU)などが仲介に乗り出しているが、停戦は守られず戦闘が長引く懸念が出ている。

日本は今年の主要7カ国(G7)議長国であり、国連安全保障理事会非常任理事国でもある。各国と力を合わせ、停戦と民政移行に向けた国際的な取り組みを主導する役割を果たしてほしい。