バンブーズブログ

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[社説]習近平政権は政策不況を繰り返すな


 
 
#社説
2023/4/18 19:05
外食などサービス消費は大きく改善した(1日、広東省深圳市のセルフサービスの火鍋レストラン)
新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」がもたらした政策不況から、まだ完全に抜け出したとは言えない。中国経済が再び失速しないよう、習近平政権には消費者や企業を不安に陥れない堅実な政策運営を求めたい。

2023年1〜3月の中国の国内総生産GDP)は物価変動の影響を調整した実質で前年同期比4.5%増となり、市場の事前予想を上回った。ゼロコロナ政策で景気が失速した22年10〜12月の2.9%増から上向き、経済は正常な軌道に戻りつつある。

ゼロコロナ政策の解除を受け、旅行や飲食などのサービス消費が勢いを取り戻した。米欧の政策金利引き上げの影響から落ち込みが懸念されていた外需も堅調に推移し、経済全体を支えた。

ただ、新型コロナの感染拡大が収束したわりには景気回復は力強さに欠ける。1〜3月の成長率は中国政府が23年通年の目標に掲げる「5%前後」に届かず、先行きを楽観できる状況にはない。

気になるのはGDPの4割を占める個人消費がサービスを除けば盛り上がりに欠けることだ。自動車やスマートフォンなどの高額な耐久消費財が特にふるわない。

背景には根強い雇用への不安がある。中央銀行中国人民銀行が1〜3月に実施した預金者へのアンケート調査では「いまの雇用環境は厳しい」または「判断できない」との答えが合計41%に達した。前年の同じ時期を5ポイント近く上回り、なお高水準だ。

今後は外需に頼った成長はさらに難しくなる。米欧で利上げによる実体経済の下押し圧力が一段と強まるなど、年後半にかけて世界経済の減速が鮮明になるとの見方が多いからだ。

中国の国内需要を着実に増やしていくことが安定した成長を保つ道である。民間の自由な経済活動を保障し、その活力を引き出す必要がある。習氏は民営企業への締めつけと、国有企業への行きすぎた優遇を改めるべきだ。

人口減が始まった中国で生産性を高めるには、外資の力を生かすことも引き続き重要になる。それにもかかわらず習政権が台湾問題で強硬策をちらつかせたり、アステラス製薬の社員を理由も明らかにせずに拘束したりするのは容認できない。

世界経済の安定を守るためにも、中国は政策の失敗を繰り返さないでほしい。