バンブーズブログ

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[社説]邦人のスーダン退避に万全を


 
 
#社説
2023/4/20 19:00
スーダンには約60人の邦人がいる(19日、首都ハルツーム)=AP
浜田靖一防衛相は20日、治安が悪化するアフリカ北東部スーダンで邦人を救出するため、自衛隊に派遣命令を出した。周辺国ジブチ自衛隊の輸送機を待機させ、邦人の退避に備える。現地は軍と準軍事組織の衝突で緊迫しており、邦人保護に万全を期してほしい。

スーダンには非政府組織(NGO)や国際協力機構(JICA)、日本大使館の関係者ら60人ほどの日本人がいるという。輸送機は自衛隊が常駐拠点を置くジブチに到着後、待機しながらスーダンの情勢を見極める方針だ。

スーダンでは多数の死者や負傷者が発生しているとされ、予断を許さない。現地の日本人に被害の情報はないものの、水や食料が不足し、停電も頻繁に起こるなど厳しい生活を強いられているのは心配だ。

日本以外でもドイツなどが自国民の救出作業を急いでいるが、戦闘が激化し、難航しているとも伝えられる。現地の状況は不透明な部分が多いなかで、不安な日々を送る邦人の安全確保に全力を挙げてもらいたい。

2021年のアフガニスタンからの邦人退避では、外務省と防衛省の連携がまずく派遣に時間がかかった。22年に自衛隊法を改正し、災害や争乱時に邦人救出自衛隊機を派遣しやすくした。

今回、19日に林芳正外相が在外邦人の輸送を定めた自衛隊法に基づき退避に必要な準備を防衛相に要請し、間を置かずに自衛隊機派遣の準備に入ったのは適切だ。アフガニスタンでの教訓が生きたといえよう。

邦人救出での自衛隊の活用は順次、態勢が整えられてきたが、世界各地で急速に治安が悪化し、邦人の身に危険が迫るケースは今後もあり得る。自国民をいかに迅速に退避、保護するか、国家の危機管理能力が問われる。

主要7カ国(G7)の議長国を務める日本は米国や欧州などとも緊密に連携し、当事者への停戦の呼びかけをはじめ、外交努力も尽くすべきだ。