バンブーズブログ

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[社説]株高が持続し長期投資が広がる市場に


 
 
#社説
2023/5/18 2:00
日経平均株価が3万円台を回復した。2021年9月以来1年8カ月ぶりだ。比較的安定した企業収益への期待が株価を押し上げている。株高を持続的なものにし、長期の株式保有が広く資産形成に資する市場にしていきたい。

日経平均株価は1年8カ月ぶりに3万円台に乗せた(17日、東京都中央区
日経平均の今年の上昇率は15%だ。世界株全体は8%高で、米ダウ工業株30種平均は前年末を下回る。日本の底堅さが目立つ。

新型コロナウイルス禍からの経済再開もあり、企業業績は堅調だ。2023年3月期決算は小幅ながら全体の純利益が最高を更新し、24年3月期もほぼ同じ利益水準を維持するとの予想だ。

日本株への関心は海外から高まっている。米投資家ウォーレン・バフェット氏が大手商社株への追加投資を表明した。海外投資家が買い越した日本株の金額は、4月は2兆円強に増えた。

とはいえ、PBR(株価純資産倍率)といった株価指標でみれば日本株への評価はなお低いままだ。企業は資金を遊ばせず、経営改革に取り組まねばならない。

米金融不安など世界経済の行方に警戒は消えないが、将来の収益の源泉となる新たな事業分野への戦略投資は必要であり、人への投資も怠ってはいけない。

大事なのは株価上昇を一過性に終わらせず、長期にわたって株高が続く循環を生み出すことだ。

バブル後の長期停滞で日本株離れが進んだ30年間だった。投資信託は米国株での運用が人気の中心で、企業年金では日本株の配分比率は10%にとどまるという。肝心の国内投資家が日本株を敬遠する流れを反転させねばならない。

若い世代を含めて、家計それぞれが将来の資産形成を考える時代だ。24年から少額投資非課税制度(NISA)も拡充される。保有株の価値が長い目でみて増えていくことで家計が潤う。財政が苦しい公的年金にも助けになる。

資金を預かる資産運用会社は運用力を磨かねばならない。日本は大手運用会社の多くが金融グループの傘下だ。証券会社や銀行など売り手側の論理が優先される構図にないか。運用のプロとして知見の蓄積や運用商品の透明性も問われよう。長年の構造問題に向き合い、信頼を高めてほしい。

長期マネーに厚みが増せば新興企業の資金調達もしやすくなる。小粒なまま株式上場を急ぐのではなく、有望企業が大きく育ち新陳代謝を促す市場に高めたい。