バンブーズブログ

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[社説]株高が持続し家計に恩恵広げる市場に


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/30 2:00
 
2023年の日経平均株価は年間で7369円(28%)上昇した(29日、東証
東京株式市場が大納会を迎え、今年の取引を終えた。日経平均株価は3万3464円と年間で7369円(28%)上昇、上昇率は10年ぶりの高い伸びとなった。

日本の脱デフレが注目され、海外投資家から再評価が広がった年だった。米投資家ウォーレン・バフェット氏による商社株の買い増しも話題を呼んだ。米中が対立、半導体など供給網で日本に期待が高まったのも大きいだろう。

ただ外国人頼みの構造は変わらず、海外マネーの流入が一巡した夏場以降は株高は勢いを失った。米国の利上げ打ち止め観測から円安が一服すると、輸出株への追い風が弱まる構図となった。

個々にみても、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り、株価が解散価値を下回る企業が数多くあるのが日本だ。かたや米国株は最高値更新を続ける。人工知能(AI)分野など成長企業の躍進が市場を活性化している。

大事なのは国内投資家が厚みを増し、株高が長期に持続する市場にすることだ。投資と分配が好循環する流れを太くしたい。

企業は資本を生かす改革にさらに取り組んでほしい。味の素は有望事業に資本を戦略的に配分し、自己資本利益率ROE)で20%を目指す。収益性を高める明確な経営が市場で評価されている。

東京証券取引所は2024年1月15日からPBR向上など改善策を打ち出した企業の一覧を公表する。経営と投資家が目線を合わす対話に生かしてもらいたい。

24年は新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まる。退職後の備えなど家計の長期資金を託す先として、健全かつ活気ある株式市場は従来以上に重要になる。

政府は資産運用立国実現に向けた政策プランを12月に発表した。金融グループの運用会社のガバナンス強化や新規参入を促す施策は前進であり、実現すべきだ。

ただ年金など資金の出し手の改革が必要だと指摘したものの、具体策は事実上先送りになった。24年夏をメドに行動規範をまとめる方針だ。公的年金の運用体制強化を含めて議論を深めたい。

東証のグロース市場改革も課題だ。小粒なまま滞るのではなく成長を目指す市場にしてほしい。

日経平均はバブル期の最高値をなお下回っている。日本人一人ひとりのお金が生かされ、その果実を実感できる資本市場の実現へ、改革の手を止めてはなるまい。