バンブーズブログ

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[社説]柔軟な働き方で「共育て」を


 
 
#社説 #オピニオン
2023/6/4 19:00
男女がともに仕事と子育てを両立できる環境を整えたい
政府は少子化対策の一環として、子育てと両立しやすい柔軟な働き方を推進する方針だ。「こども未来戦略方針」の素案に、メニューの拡充や対象年齢の引き上げの検討を盛り込んだ。

これまで育児期の両立策としては、短時間勤務が多く使われていた。原則1日6時間という働き方で、子どもが3歳になるまでは企業の義務だ。有効な制度ではあるものの、利用が長期化しキャリアに影響しやすい面もある。

今回、3歳までのテレワークを努力義務として加える。あくまで「努力」だが、通勤時間がなくてすむ分、早くからフルタイムで働ける人もいるだろう。企業は積極的に取り組んでほしい。

3歳から小学校入学前までの間は、新たに柔軟な働き方ができる制度を創設する。ここでも短時間一辺倒ではない。テレワークやフレックスタイム制も含むなかから企業が複数を選び、親が選択できるようにする。今後、厚生労働省の審議会で具体的に検討する。

子育てや仕事の状況は、時期によりどんどん変わる。両立に向けた道筋が増えるのは、働き手にとってプラスだろう。

大事なのはこれを機に男性も制度の利用にもっと目を向けることだ。いまは利用が女性に偏り、「男性は仕事、女性は家庭と仕事」という状況を生んできた。男女の家事・育児分担の差は5.5倍もある。少子化の大きな要因だ。

政府は「共働き・共育て」を掲げる。柔軟な働き方の推進は、男性育休と並ぶ柱の一つであり、まさに大事な方向だ。どうすれば偏りをなくせるか。社会の意識改革も欠かせない。

職場全体の働き方を見直していくことも重要だ。例えばもともと残業が少ない職場であれば、制度にばかり頼らなくても子育てはしやすくなる。

旧態依然とした長時間労働にメスを入れ、多様な働き方を定着させることがカギとなる。介護中の社員やリスキリングに時間を使いたい社員にも役立つはずだ。