バンブーズブログ

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[社説]同性カップルの法的保護早く


 
 
#社説 #オピニオン
2023/6/9 2:00
同性婚を巡る福岡地裁判決を受け横断幕を掲げる原告ら=8日午前、福岡市、共同
同性婚を認めない民法などの規定は憲法に違反するとして同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は現行の規定は「違憲状態」との判断を下した。請求そのものは退けた。

一連の訴訟は2019年に全国5地裁で起こされた。地裁段階とはいえ、うち2件が「違憲」、今回を含む2件が「違憲状態」としている。合憲とした1つも将来的な違憲の可能性を指摘した。国に今後の対応を促したものといえる。同性カップルが家族として安心して暮らすための法整備の議論を、日本でも始めるべきだ。

判決は「同性カップルに婚姻制度で得られる利益を一切認めず、自ら選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない」ことは、婚姻や家族の法律は個人の尊厳に立脚すべきだとした憲法24条2項に「違反する状態」と述べた。

一方で、同性婚同性カップルの法的保護に肯定的な意見が多くなったのは最近だったことなどから、「立法府による今後の検討や対応に委ねることが必ずしも不合理とはいえない」と述べ、違憲とまでは認められないとした。

自治体レベルでは、15年の渋谷区などを機に、同性カップルの関係を公的に証明するパートナーシップ制度が全国に広がった。同性カップルに家族手当などを支給する企業も増えている。

ただ国レベルの制度がないため、法定相続人になれない、子どもの共同親権を持てない、などの不利益が生じている。税や社会保障制度でも不利な状況だ。ビジネスなどで国際的な人の移動が活発になるなか、日本では家族として認められないと不安を感じる人もいるだろう。

多様性を認め、だれもが暮らしやすい社会を実現することは欠かせない課題だ。不利益を解消する方法として判決は、婚姻制度の適用のほか、海外の登録パートナーシップ制度もあげた。国民のなかにもさまざまな意見があるだろう。国会や国の審議会などの場で議論してほしい。