バンブーズブログ

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[社説]令和流の皇室外交の第一歩に


 
 
#令和の皇室 #社説
2023/6/21 19:00
インドネシア訪問を令和流の国際親善の第一歩にしたい(ジョコ大統領の案内でジャカルタの植物園を見学される天皇、皇后両陛下)=共同
天皇、皇后両陛下がインドネシアを公式訪問されている。国際親善が目的の外国訪問は即位以来初めてだ。両国の友好関係の深化につながることを期待したい。

2019年の即位からほどなく新型コロナウイルス禍が広がり、皇室外交も大きな制約を受けた。両陛下は22年の英エリザベス女王の葬儀には参列されたものの、親善目的の訪問はまだだった。ようやく実現したことは喜ばしい。

今年は日本とインドネシアが平和条約を結んで65年、東南アジア諸国連合ASEAN)と日本の友好協力関係も50年という節目の年だ。友好を一段と深めるのに適したタイミングといえる。インドネシア上皇さまが1991年、即位後初めて海外訪問された東南アジア3カ国の一つでもある。

ジョコ大統領とともにスピーチに臨んだ天皇陛下は「若い人々の交流により、両国間の友好親善が一層発展することを心から願っております」と述べられた。両陛下はオランダからの独立に貢献した政治家や、現地に残って独立戦争を戦った旧日本兵らが眠るカリバタ英雄墓地も訪れて供花された。その姿は多くの人々の印象に残ったことだろう。

天皇陛下は訪問に先立つ記者会見で、国際親善を皇室の「重要な柱の一つ」と指摘。上皇さまを念頭に「平和を大切に思われる気持ちをしっかりと受け継いでまいりたい」との思いも示された。

外国訪問がごくわずかだった昭和天皇と異なり、上皇さまは皇太子時代を含めて積極的に海外を訪問された。そこには戦前の日本が世界に与えた負の印象の払拭という意味合いもあった。

戦後生まれで、海外留学経験のある初の天皇でもある陛下のもとでは、皇室外交のあり方も徐々に「令和流」へと姿を変えていくのだろう。元外交官である皇后さまも海外経験は豊富だ。

コロナ禍が明け、皇室の活動も本格的に再始動する。今回の訪問が、お二人を中心とした新たな皇室外交の第一歩になればいい。