バンブーズブログ

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戴冠式秘話70年】秋篠宮ご夫妻がイギリス戴冠式へ出発 雅子さまはオランダ即位式で快復へ前進も…“皇室外交”の原点に迫る

イギリス・チャールズ国王の戴冠式が5月6日に行われます。日本からは秋篠宮ご夫妻が出席されます。戦後、日本の皇族が出席した海外王室の戴冠式即位式は全部で5回。
なかでも1953年に行われた、イギリスの故エリザベス女王戴冠式は、戦後日本の“皇室外交”の原点となりました。さらに、病気療養中の雅子さまにとっても戴冠式は特別なものでした。当時の画像とともに振り返ります。

“国際社会復帰”への第一歩 英エリザベス女王戴冠式(1953年)
今からちょうど70年前の1953年(昭和28年)、19歳の皇太子だった現在の上皇さまは、昭和天皇の名代としてエリザベス女王戴冠式に出席されました。

写真 共同通信社

戦後初めてとなる皇族の海外訪問。1952年にサンフランシスコ条約が発効され独立を回復、国際社会に復帰したばかりの日本にとって、この戴冠式への出席は“国際社会への復帰”を飾るとても大きな意味をもっていました。

上皇さまが出発されるときの映像を見ると、国をあげての熱狂ぶりに驚かされます。オープンカーで皇居を出発する上皇さまと、その姿を一目見ようと集まった多くの国民の様子はパレードさながらです。

横浜港には当時の吉田茂首相のほか、皇族方、そして見送りの国民が幾重にも人垣をつくり、紙テープを振りながらいつまでも見送っていました。



横浜港を船で出発された上皇さまは、イギリス訪問の前にアメリカとカナダに立ち寄り、戴冠式後にはスペインやイタリアなどあわせて14か国を歴訪され、およそ半年にわたる欧米周遊となりました。

上皇さまはのちに、この英国訪問について、このように感謝の気持ちを述べられています。

「当時の英国の対日感情は厳しい状況にあると聞いており、事実、英国の一地域においては訪問が受け入れられなかったような事態もありましたが、チャーチル首相はじめ、知日英国人、在英大使館などの尽力により、私自身はそのような雰囲気をあからさまに感じるようなことに遭遇することはありませんでした。関係者の心配りによるものであったと思います」

 

また、立ち寄ったカナダでは、戦争のせいで苦難に満ちた生活を強いられた日系人と出会われました。
この出会いを上皇さまは56年後、「厳しい寒さの中、列車が停車する駅で、日系の人々が心を込めてむかえてくれたことは忘れ得ぬことであります」と振り返られています。 

このイギリス戴冠式への出席とその前後の欧米外遊での経験や出会いこそが、上皇さまが天皇在位中に続けてこられた戦跡への慰霊の旅や被災地慰問の「原点」になったと指摘する専門家もいます。