バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]ウクライナ復興はできることから着実に


 
 
#ウクライナ侵攻 #社説
2023/6/23 19:05
ウクライナ復興会議で演説する林芳正外相(21日、ロンドン)
乗り越えるべき課題は山積しているが、できることから実行に移すことが重要だ。

ロシアによる侵略で甚大な被害を受けているウクライナの復興支援について話し合う「ウクライナ復興会議」がロンドンで開かれた。主要7カ国(G7)に加え、アジア、アフリカなど約60カ国の政府、国際機関、民間企業などから1千人を超える人が参加した。

ウクライナの惨状に危機感を共有し、復興支援の必要性で団結を示した意義は大きい。ロシアはこの事実を重く受け止めるべきだ。

会議では各国政府や国際機関が新たに総額600億ドル(約8兆5800億円)を拠出することで合意した。ウクライナのシュミハリ首相は、今年中に必要な65億ドルの支援を受け取れるとの見通しを明らかにした。大きな成果だ。

ただ、世界銀行が今年3月に公表した試算では、復興に必要な資金は4110億ドルにのぼる。その後も南部のダムが決壊するなど被害は拡大している。復興が長期に及び、公的な支援だけでは不十分なことは自明の理だ。

民間企業をいかに復興に参画させるかが会議のテーマとなるなか、日立グループを含む500社近くが投資や貿易、専門知識の提供などで支援する意向を示した。

とはいえ、現地は戦闘のさなかだ。民間による本格的な支援は停戦が条件となろうが、戦時下でもがれき処理や橋の修復などが一部始まっている。ダム決壊では下流が水没しただけでなく、周辺の電力や飲料水の供給が止まるなど支援が急がれる案件は多い。

会議では戦争リスク保険の拡充などが協議された。民間の活動を後押しするためには損失をカバーする措置は不可欠だ。

日本政府からは林芳正外相が参加し「官民あげて復興・復旧を後押しする」などと述べた。今年末か来年初めには日本とウクライナの関係者が経済復興の推進策を協議することも表明した。

日本は主にがれき処理や地雷除去で貢献する意向だ。停戦後はもちろん、戦時下でも物資や技術の提供などできることはある。官民連携し支援態勢を整えてほしい。

課題はウクライナにも多い。以前から汚職、賄賂のまん延が指摘され、外資から批判の対象となっていた。多額の支援を受けるには透明性を確保しなければ理解は得られない。欧州連合EU)加盟を目指すならなおさらだ。