バンブーズブログ

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米銀の企業向け融資姿勢、3年ぶり厳しさ FRB調査


 
 
#米欧金融リスク #北米
2023/8/1 5:45 (2023/8/1 6:47 更新)
 
FRBは四半期に一度の頻度で銀行の融資態度を調査する(ワシントン)=AP
【ニューヨーク=斉藤雄太】米国の銀行が融資に慎重な姿勢に傾いている。米連邦準備理事会(FRB)が31日発表した銀行の融資担当者調査によると、2023年4〜6月期の企業向け融資基準は20年春の新型コロナウイルスの感染拡大初期以来、3年ぶりの厳しさになった。資金繰り不安が米景気の軟着陸期待に影を落としている。

FRBは四半期に一度のペースで銀行に企業や家計への融資姿勢や需要の変化を尋ね、調査結果を公表している。4〜6月期の状況を確認した今回は6月15〜30日に調査を実施し、米銀66行と米国に拠点を構える外国銀行19行が回答した。

融資基準を「厳しくした」と答えた割合から「緩めた」を引いて算出する指数は、大企業・中堅企業向けが50.8と前回調査から4.8ポイント上昇した。数値が高いほど融資に慎重な様子を示し、コロナ禍初期の20年4〜6月期(71.2)以来の高水準になった。

 
中小企業向けの融資基準を示す指数も49.2と2.5ポイント上昇し、3年ぶりの高水準になった。不良債権の増加が懸念されている商業用不動産向けは、建設・土地開発用が71.7と2.1ポイント下がったが、水準はコロナ禍初期並みの高さにとどまった。消費者向けではクレジットカードへの与信が一段と厳しくなった。

企業向け融資を厳格にした理由では、経済見通しが良好でないことや不確実性が高まったとの回答が最も多かった。リスク許容度の低下や流動性の悪化を指摘する声も上がった。3月以降に相次いだ地銀破綻の余波で多くの銀行が預金の流出や資金調達コストの上昇に見舞われ、貸し出し余力が細っている現状を映した。

調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのイアン・シェファードソン氏はリポートで「銀行は(融資拡大による)成長よりも安全性を追求している」と指摘した。

23年後半の見通しについても、企業向けと消費者向けのすべての分野で融資基準を一段と厳しくするとの回答が多かった。景気の先行き不透明感に加え、不動産などの担保価値の低下や貸し倒れリスクの高まりに対する警戒感が強まっている。

借り手の資金需要も低調なままだ。ローン需要が「強まった」という回答の割合から「弱まった」を引いた指数は、大企業・中堅企業向けがマイナス51.6だった。前回調査からは4ポイント上向いたものの、なおリーマン危機時並みの低水準にとどまる。FRBの利上げで借り入れコストが上がっていることが背景にある。

銀行の融資態度は米景気との相関が強く、基準の大幅な厳格化が進んだ時期に景気後退が発生してきた。足元では底堅い景気指標やインフレの鈍化を踏まえ、米経済が急速な落ち込みを回避する軟着陸期待が高まっている。その実現に向けては与信環境の引き締まりに企業や家計がどれだけ耐えうるかが焦点になる。