バンブーズブログ

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[社説]NHKは放送法を順守せよ


 
 
#社説 #オピニオン
2023/8/19 2:00
 
NHKは現行法の拡大解釈でネットサービスを増やしている(東京都渋谷区のNHK放送センター)
テレビを持たない人が多いネット時代における公共放送のあり方を巡って、議論が迷走している。総務省のワーキンググループ(WG)が、放送法が規定するNHKの「必須業務」にネット上の発信を追加すべきか議論しているが、方向が定まらない。

迷走の一因は、NHKや政府、一部の議論参加者が、原則論を棚上げしたままNHKの業務範囲をネットに広げようとしていることにあるようだ。原則論に正面から向き合い、しかるべき選択肢を国民に提示すべきだ。

まず確認すべきなのは公平な費用負担の原則だ。番組製作や送信の費用は受信料収入で賄われている。ネット経由の情報供給も公共放送業務の一部とみなすのであれば、テレビを持たない人も「受信者」となり、何らかの負担をするのが筋だ。WGはこの原則から逃げてはならない。

現状でも「NHKプラス」のサイトやスマホアプリ経由で、受信料を払っていない人でも多くのNHK番組を見られるという問題がある。この場合はパソコンやスマホが「受信設備」に当たる。

「受信設備」保有者からの受信料徴収をNHKに義務付ける放送法の規定と、ネット経由の無料視聴の実態は明らかに矛盾しているようにみえるが、この点についてもWGは見解を示すべきだ。

もう一つNHKの業務範囲についても注文をつけたい。NHKはそもそも放送事業者であり、ネット配信するのはあくまで放送用につくった番組に限るという原則も明確にすべきだ。だが、実際はなし崩し的にネット事業を広げようとしているのが今のNHKだ。「NEWS WEB」などで政治経済からスポーツまで幅広い情報を無料で提供する。

NHK放送法で許容されている、番組についての広報を目的とした「理解増進情報」のネット配信だと主張するが、明らかにその枠を超えている。番組の文字起こしや防災・安全情報に内容を限定すべきだ。