2023/8/31 5:16 (2023/8/31 5:48 更新)
【NQNニューヨーク=矢内純一】30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比37ドル57セント(0.1%)高の3万4890ドル24セントで終えた。同日朝発表の米経済指標が労働市場の過熱感の緩和を示した。米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が一段と後退し、株買いを誘った。半面、ダウ平均は前日までの3営業日で750ドルあまり上昇した後で、主力銘柄には持ち高調整売りが出やすく、小幅に下げる場面があった。
30日朝に発表された8月のADP全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数は前月に比べ17万7000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(20万人増)を下回った。労働需給の軟化を示す内容との受け止めが広がった。2023年4〜6月期の国内総生産(GDP、改定値)は前期比年率2.1%増と、速報値(2.4%増)から下方修正された。成長率が鈍っていることも、追加の利上げ観測の後退につながった。
米債券市場では長期金利が低下(債券価格が上昇)し、一時は前日に比べ0.04%低い4.08%となった。金利の低下で株式の相対的な割高感が薄れ、高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に買いが入った。ダウ平均は170ドルあまり上昇し、3万5000ドル台に乗せる場面があった。
買い一巡後はダウ平均が一時、下落に転じた。持ち高調整や利益確定の売りに押された。31日には7月の米個人消費支出(PCE)、9月1日には8月の雇用統計の発表がある。いずれもFRBが重視する経済指標とあって、内容を見極めたいとの雰囲気が出やすかった。市場には「商いが薄く、株式相場の方向感が定まりにくかった」(ワシントン・クロッシング・アドバイザーズのチャド・モーガンランダー氏)と見方があった。
個別では、スマートフォンのアップル、ホームセンターのホーム・デポ、建機のキャタピラーが上昇。航空機のボーイングと半導体のインテルも高かった。半面、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、バイオ製薬のアムジェン、金融のゴールドマン・サックスが下落した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸した。前日比75.554ポイント(0.5%)高の1万4019.311と、およそ1カ月ぶりの高値で終えた。半導体のエヌビディア、ネット検索のアルファベットなどが買われた