バンブーズブログ

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[社説]許されぬ再生エネの利権化


 
 
#社説 #オピニオン
2023/9/8 2:00
 
脱原発をテーマとした自著の出版記念講演で話す秋本真利衆院議員(2021年、水戸市)=共同
国の洋上風力発電事業をめぐり賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部が衆院議員の秋本真利容疑者を受託収賄容疑で逮捕した。

再生可能エネルギー、とりわけ洋上風力発電の推進は脱炭素社会を目指す上で最も重要な施策である。その重責を担う国会議員が不正に手を染めていたとすれば、到底許されない。徹底的かつ丁寧な捜査が必要だ。

逮捕容疑によると、贈賄側の日本風力開発から受け取った賄賂は6千万円を超える。逮捕前に本人は賄賂性を否定したとされるが、職務権限が関係する企業から巨額の資金を受け取る行為そのものが非難されよう。

政府が2021年に実施した入札では、最も安い売電価格を示した大手商社の企業連合が秋田県沖など3海域を独占した。秋本議員は翌年の国会質問で入札時の評価基準を見直すよう求め、その後で基準は変更された。

政治家や一部企業の利権のために入札が不当にゆがめられたとすれば、最終的に不利益を被るのは消費者である。事業への不信感が増せば再エネの普及にも支障が生じかねない。

信頼回復のためにも政府は捜査とは別に経緯を検証し、結果を説明すべきだ。評価基準を含め入札の仕組みに問題があればただちに改めなくてはならない。

秋本議員は8月上旬に議員事務所などの家宅捜索を受けて以降、公の場に姿を見せず、説明責任を果たさないまま逮捕された。所属していた自民党も傍観するような態度を続けている。

2年前の岸田文雄政権発足以降も「政治とカネ」をめぐる不祥事が相次いでいる。寺田稔、秋葉賢也の両氏が閣僚を辞任・更迭されたほか、薗浦健太郎氏は政治資金規正法違反罪で有罪となった。

首相や自民党幹部が内閣や自党の支持率だけを気にしているとしたら認識が甘い。一つ不祥事が起きるたびに、政治に対する信頼が損なわれている。その罪深さを自覚せねばならない。