バンブーズブログ

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[社説]自民は補選勝利におごらず政策を前へ


 
 
#社説
2023/4/24 1:30
千葉5区補選で当選し、支援者らと記念写真におさまる英利アルフィヤ氏(中央)=24日未明、千葉県市川市
衆参両院の5つの補欠選挙が23日、投開票された。自民党は接戦を制して4勝1敗とし、政府・与党には安堵の空気も漂う。ただ想定より厳しい戦いを強いられた地域も多く、内政や外交の諸課題に着実に取り組むことで有権者の期待に応えてもらいたい。

今回の衆参5補選は、発足から1年半を経た岸田文雄政権への「中間評価」と位置づけられた。自民党は2021年の衆院選と22年の参院選で連勝したが、今回は支持の広がりをやや欠いた。

大差の勝利は安倍晋三元首相の死去を受けた衆院山口4区のみにとどまった。岸信夫前防衛相の引退を受けた山口2区、「政治とカネ」の問題で前議員が辞職した千葉5区、参院大分選挙区は激戦の末に競り勝った格好だ。

自民党は和歌山1区や参院大分選挙区に首相や党幹部らが何度も現地入りするなど、総力戦を繰り広げた。和歌山では日本維新の会の候補に手痛い敗北を喫し、与党内には関西での維新の伸長に危機感が強まっている。

統一地方選は前半戦、後半戦ともに自民党が比較的堅調な戦いぶりを見せた。41道府県議選で過半数を維持し、立憲民主党共産党などは議席を思うように伸ばせなかった。一方、維新は大阪府知事選と大阪市長選でともに勝利し、奈良県知事選も制した。

維新は今回の勝利をバネに、活動の幅を全国にさらに広げていく方針だ。歴代政権の経済運営に手詰まり感が漂い、政治資金問題などで自民党の不祥事が続く現状への保守層の不満の受け皿として存在感を増しつつある。

自民党内では5月の広島市での主要7カ国首脳会議(G7サミット)で成果をあげ、早期の衆院解散・総選挙に期待する声がある。補選4勝は首相の政権運営への信任といえ、解散論がさらに勢いづく可能性もある。

衆参補選や地方選では、各候補が訴える子育て支援や物価高対策などへの関心の高さが裏付けられた。与野党有権者の生活に密着した重要課題にどう取り組む考えなのかを明確にしたうえで、次の選挙に臨んでもらいたい。

今回の選挙期間中、首相の演説会場に爆発物が投げ込まれる事件が起きた。昨年の安倍元首相の銃撃に続く暴挙に衝撃が広がった。各党は民主主義の根幹である選挙の安全を守るため何が最も有効かを真剣に議論してもらいたい。