バンブーズブログ

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[社説]ウクライナ支援を途切らせてはならない


 
 
#ウクライナ侵攻 #社説
2023/10/6 2:00
 
キーウで開催されたEU外相会合に参加した各国外相やウクライナのゼレンスキー大統領(中央)ら=2日(ウクライナ大統領府提供・AP=共同)
ロシア軍の侵攻に苦しむウクライナへの支援が試練のときを迎えている。将来の国際秩序を左右しかねない重要な局面だ。支援する側の覚悟と知恵が問われる。

最大の支援国である米国では、9月末に成立したつなぎ予算からウクライナ支援分が除外された。野党・共和党の強硬派が反対したためだ。このままではあと2カ月程度で支援が途絶えるという。

バイデン政権はウクライナ支援を盛り込んだ予算案を今後議会に提出する予定だ。ただ支援に前向きな下院議長が解任されるなど議会の見通しは不透明感が強い。

西側諸国を分断し、支援を細らせるのはロシアのプーチン大統領が描くシナリオだ。ウクライナのゼレンスキー大統領も「支援を得られなければ戦争に負ける」と訴えている。その通りだろう。

そうなれば「法の支配」の原則が崩れ、「力による現状変更」が世界中で起きかねない。米国は揺らいでいる場合ではない。早期に妥協点を見いだしてほしい。

欧州でも支援疲れから足並みの乱れが出ている。9月30日のスロバキア議会選では、ウクライナへの軍事支援の停止を訴える野党が第1党を獲得した。ポーランド穀物輸送を巡ってウクライナとの対立が表面化し、ハンガリーも支援に慎重な立場だ。いずれも今後を注視する必要がある。

そんななかウクライナが加盟を目指す欧州連合EU)は10月2日、域外で初めてとなる外相会合をキーウ(キエフ)で開いた。一部は代理出席となったが、戦時下の首都に各国外相が集結し、ウクライナとの連帯とロシアに屈しない姿勢を打ち出した意味は重い。

ウクライナ側も取り組むべき課題は多い。継続的な支援と将来的なEU加盟を実現するには汚職をなくし、支援金などの使途を透明化することが不可欠だ。

同国では軍幹部や政府高官が解任されるケースが相次いでいるが、汚職対策が動き出した結果ともいえる。ゼレンスキー氏は対ロシア戦に加えて、国内では汚職をなくすという難しいかじ取りが求められるが、避けては通れない。

バイデン米大統領は3日、岸田文雄首相ら西側首脳との電話会談を主導し、ウクライナ支援の重要性を確認した。折に触れ意見交換する意義は大きいが、ウクライナの改革を後押しするためにも長期的な視野に立った継続的な支援態勢をつくることも急務だ。