バンブーズブログ

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[社説]海外に挑む若者を支えよう 大谷翔平選手に続け


 
 
#大谷翔平 #社説
2023/10/6 2:00
 
大谷翔平選手のように海外に挑む若者を社会全体で支えたい(ゲッティ=共同)
米大リーグ、エンゼルス大谷翔平選手が初の本塁打王に輝いた。体格やパワーの差から日本人には困難といわれてきたタイトルである。空前の偉業をたたえたい。

海外を目指す若者をどう支えるべきか、改めて社会で考える契機にもなるだろう。

大谷選手が放った本塁打は44本。投手でも2桁の10勝をあげ、二刀流でみても異次元というべき成績だった。3月のワールド・ベースボール・クラシックWBC)で日本代表を優勝に導いたこともあり、活躍ぶりがより強く印象に残るシーズンとなった。

野球やサッカーだけでなく、近年は幅広い競技で海外に挑む選手が珍しくない。五輪でも普段から米国などに拠点を置く若手の台頭が目立つ。スポーツ以外でも、囲碁の仲邑菫女流棋聖が強豪国の韓国へ移籍する動きなどが話題を集めている。よりハイレベルな海外の舞台に身を置きたい。そんな若者の存在は心強い。

一方で、若年層全般について「内向き志向」をいう声も根強くある。トップ選手はいざしらず、多くの若者は日本から出ようとしない――。そんな指摘である。

確かに長期留学者数などは低迷傾向にある。ただそこには社会の側の体制不備が少なからず響いていることに注意が必要だ。

例えば日本では研究職のポスト不足が極めて深刻である。若手研究者の中には、本当は留学したいのに、その間に就職先がなくなってしまうとの不安からちゅうちょする例があるという。本末転倒であり、我が国の研究力の土台が衰えかねない事態だろう。

経済的な問題が留学の裾野の拡大を阻んでいるとの声も多い。とりわけ昨今の円安で、費用負担が急速に重くなっている。放置すれば今後の大幅な留学減につながる恐れもあるが、公的支援などの目配りは十分ではない。

若者が海外で躍動する場面をもっと見たい。そこに異論はないだろう。どんな支えが必要か、社会全体で考えていきたい。