バンブーズブログ

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[社説]対中抑止へ豪州と連携深めよ


 
 
#社説 #オピニオン
2023/10/27 2:00
 
バイデン米大統領(写真㊧)とアルバニージー豪首相は対中国を念頭に広範な米豪協力で合意した=AP
バイデン米大統領がオーストラリアのアルバニージー首相とホワイトハウスで会談した。日本を交えた3カ国の取り組みも含め、防衛協力を深めることで一致した。

豪州は日米欧にとって民主主義などの価値観を共有するパートナーで、中国への抑止力向上に欠かせない。豪州との連携を着実に推進し、インド太平洋地域の安定につなげてほしい。

日米豪の安全保障協力では、新たに無人機の分野で相互運用性の向上や技術移転を進める。米国が2030年代に予定している豪州への原子力潜水艦の供与に向けた作業も加速する。

これらの協力策を早く実現し、中国の野放図な海洋進出に歯止めをかけるべきだ。南シナ海では22日に中国船がフィリピン船に衝突する事案が起きた。米国は「フィリピンの航行の自由を妨害した」として中国を非難している。

米豪首脳は太平洋島しょ国のインフラ整備の促進で一致した。海底ケーブルの敷設を支援し、ソロモン諸島など9カ国に必要な設備を提供する。豪州に近いこの地域は近年、中国が影響力を強めている。こうした経済援助も中国に対抗するうえで重要だ。

アルバニージー氏は11月上旬に豪首相として7年ぶりとなる訪中を予定する。中国は豪州産ワインに課している関税の見直しに合意した。新型コロナウイルスの起源を巡って悪化していた両国の関係が好転する兆しがある。

バイデン氏は5月に予定していた豪州訪問を見送った。米政府の債務上限問題への対応のためで、その代わりに今回はアルバニージー氏を国賓として米国に招いた。

豪州は日本にとって米国に次ぐ「準同盟国」の位置付けで、エネルギーの安定調達先としての存在感も大きい。日米とインドによる4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」、米英両国との安保協力「AUKUS(オーカス)」のメンバーでもある。豪州との重層的な協力関係は絶えず強化していかなければならない。