バンブーズブログ

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[社説]支持率急落は岸田文雄政権への警鐘だ


 
 
#社説 #オピニオン #岸田政権
2023/10/31 2:00
 
岸田内閣の支持率は発足後の最低水準に急落した(衆院予算委で答弁する岸田首相、30日)
今国会の審議が本格化するなか、報道各社の世論調査岸田文雄内閣の支持率が急落した。首相の指導力や経済対策への不満の声が目立ち、3年目に入った政権運営への警鐘と受け止めるべきだろう。一時的な対応の積み重ねではなく、難しい課題を解決していく道筋を有権者に明示してほしい。

日本経済新聞社テレビ東京の27〜29日の調査で、内閣支持率は9月調査から9ポイント低下して33%となった。2021年10月の政権発足以来の最低で、12年の自民党の政権復帰後でみても最も低い。

内閣を支持しない理由(複数回答)は「政策が悪い」(52%)、「指導力がない」(34%)が上位を占めた。首相が表明した所得税減税について「適切だとは思わない」が65%にのぼり、「適切だ」の24%を大きく上回った。

岸田内閣に対しては「新しい資本主義」「デジタル田園都市国家構想」といった看板政策の成果が乏しく、政権目標も不明確だと野党が連日、国会で追及している。物価高に賃上げの効果が追いつかない現状への不満も加わり、内閣支持率が急落したとみられる。

足元で最大の争点となっているのが経済対策だ。首相は26日の政府与党政策懇談会で所得税減税の具体化を指示した。1人当たり所得税3万円、住民税1万円の計4万円を減税する案が有力視される。低所得世帯向けの給付措置と組み合わせる方向だ。

岸田政権では「防衛力の抜本的強化」や「次元の異なる少子化対策」の安定財源をどう確保するかが重要な課題となっている。そこに基幹税である所得税を一時的に減税する案が急浮上し、政策の一貫性の無さを疑問視する有権者も多いとみられる。

世論調査では自民党政党支持率も政権奪取後で最低の32%となった。政権の選択が迷走しつつあるとすれば、再考を促す責任はまずは与党にある。国会でも緊急対策の中身と並行し、コロナ禍を脱して日本経済を再生していく戦略の議論を深めてもらいたい。