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日大学長と副学長、アメフト部存続主張していた…学生「仕方ないがスポーツ推薦の友人気の毒」

日大学長と副学長、アメフト部存続主張していた…学生「仕方ないがスポーツ推薦の友人気の毒」
2023/11/30 08:52
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 日本大学アメリカンフットボール部の違法薬物事件で、日大の学内会議がアメフト部を廃部とする方針を決めたことが、大学などへの取材でわかった。1940年に創部し、「フェニックス」(不死鳥)のチーム名で知られる強豪は、12月1日に正式に廃部が決定する見通しだ。一連の問題でガバナンス(組織統治)不全を指摘された日大は30日にも、文部科学省に大学運営の改善計画を提出する。

閑散とする日大アメフト部のグラウンド(29日午後、東京都世田谷区で、読売ヘリから)
1940年創部、学生王者21回
 

 日大や関係者によると、運動部(競技部)の運営管理を審議する「競技スポーツ運営委員会」が28日夜に開かれ、アメフト部への対応が話し合われた。

 出席者からは「寮の体制の見直しなど、やれることをまずやってみては」といった存続を望む意見もあった。8月以降、麻薬特例法違反などで3人の部員が相次いで逮捕された。部は9月1日付で無期限の活動停止処分となっており、「部員以外の7万人の学生が大事だ」など、出席者の大半は部の廃止に踏み込まなければ、社会からの理解は得られないとする意見でまとまったという。

 

3人目逮捕で存続機運しぼむ
 

 アメリカンフットボール部の存続を前提としてきた日本大学内部の議論は、3人目の逮捕者が出たことで、廃部に傾いた。

 関係者によると、学内では酒井健夫学長と競技スポーツ担当の沢田康広副学長が、学生の教育を重視するとの立場から部の存続を主張してきた。しかし、理事会の辞任勧告を2人とも受け入れ、部の存続を支持する声は次第に小さくなっていた。


 さらに今月27日には、警視庁が新たに1人を逮捕。逮捕者は3人となり、関係者は「競技スポーツ運営委員会前日というタイミングで、委員会では、もはや部を支えられないという雰囲気だった」と明かす。

 日大アメフト部員は8月時点で約120人。学生王者を決める甲子園ボウルで過去21回の優勝を誇る。一方、2018年に対戦校の選手に無防備な背後からタックルして負傷させた「危険タックル問題」を起こし、関東学生アメリカンフットボール連盟から公式試合出場資格停止処分を受けた。

 この問題後、公募で選出された立命館大出身の橋詰功氏が監督に就任。橋詰氏はチームの再建を進め、処分解除後の20年には学生王者を決める甲子園ボウルに3年ぶりに出場した。

 橋詰氏は21年夏に退任し、翌春に就任した中村敏英監督ら、OB中心の指導体制に戻った。OBの一人は「廃部はあまりにも安易。無実の学生まで、一まとめにして処分するのはおかしな話だ」と訴える。

 名門の廃部に、現役学生らの思いは複雑だ。

 文理学部2年の男子学生(20)は「フェニックスは日大の象徴のような存在。廃部は悲しい」と話す。アメフト部員の友人がいるという1年の男子学生(18)は「(友人は)スポーツ推薦で入学し、これからどうなるのかと悩んでいた。廃部は仕方がないが、気の毒だ」と語った。日大広報部によると、アメフト部員有志13人は29日、180人分の署名を添えて廃部方針撤回の要望書を大学に提出した。

 一方、法学部2年の女子学生(19)は「伝統ある常勝チームであっても、大学の評価を下げているのだから廃部は当然だ」と言い切る。

 大学スポーツ協会の池田敦司・専務理事(仙台大教授)は「大学スポーツ界は伝統的に学生やOB任せの風潮がある。大学側がきちんと管理・統括する部署を作って専門人材も配置し、活動に関与していく仕組みを早急に構築する必要がある」と指摘している。

廃部、過去にも
 

 大学の運動部が不祥事によって廃部となった事例は過去にもある。

 近畿大ボクシング部は2009年6月、部員2人が路上で同大の男子学生を殴って現金を奪う強盗事件を起こして逮捕され、同月に廃部となった。その後、OBが復活を求める署名を集めるなどし、3年後の12年10月に活動を再開した。

 小樽商科大では12年、アメリカンフットボール部の1年生部員(当時19歳)が急性アルコール中毒で死亡。同部が廃部された。