バンブーズブログ

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[社説]鳥インフル流行阻止を万全に


 
 
#社説 #オピニオン
2023/11/30 2:00
 
茨城県笠間市の養鶏場で殺処分の準備をする県職員ら(27日、同県提供)=共同
高病原性鳥インフルエンザの感染が今年も確認された。鶏卵価格のさらなる上昇を防ぐため、官民で連携して感染拡大の阻止に全力をあげてほしい。

佐賀県の養鶏場で鳥インフルの陽性が確認されたのに続き、茨城県でも感染が見つかった。2つの事例で約11万2000羽が殺処分の対象になった。鳥インフルの発生は4季連続だ。

これとは別に複数の地域で野鳥の感染が見つかっており、野鳥から鶏に感染が広がる懸念が高まっている。こうした事態を受け、農林水産省は監視体制を強化するよう都道府県に要請した。

2022年10月末に始まった感染拡大では過去最多の約1771万羽が殺処分の対象になった。卵の値段が高騰したり、卵を使った一部の食品の販売が停止したりするなど深刻な影響が出た。

卵の販売会社のJA全農たまごによると、相場の目安となるサイズの東京地区の23年11月の基準値は21年と比べて2割強高い。22年の大流行の影響は続いており、これ以上の感染拡大を防ぐことが急務になっている。

感染を防ぐには養鶏場が基本的な対策を徹底するしかない。野鳥やネズミが侵入するのを防ぐのは最優先の措置だ。卵を運ぶコンベヤーの開口部の隙間を塞ぎ、雑草を刈って動物が隠れる場所をなくすことなどが必要だ。

農場を出入りする車を消毒し、洗浄した衛生的な衣服や長靴の用意も課題になる。鶏の状態を観察し、異常が見つかれば都道府県の家畜保健衛生所にただちに連絡する手順の確認も重要だ。

大規模な養鶏場なら場内を複数の区画に分けて管理し、鳥インフルが全体に広がるのを防ぐ工夫も選択肢になる。整備に一定のコストはかかるが、万が一発生しても別の区域での殺処分を回避できる可能性がある。

多くの食品が値上がりし、家計を圧迫している。卵の価格の上昇を防ぐため、自治体と養鶏場で改めて対策を確認してほしい。