バンブーズブログ

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[社説]OpenAI騒動の真相示せ


 
 
#生成AI #社説
2023/12/2 19:00
 
米オープンAIの共同創業者、サム・アルトマン氏は解任から4日あまりでCEOに復帰した=AP
生成AI(人工知能)のChat(チャット)GPTを開発した米オープンAIで、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が突如解任され、4日あまりで復帰する騒動が起きた。

オープンAIは高い技術力で生成AIの普及を主導したが、解任劇は企業統治の不備を浮き彫りにした。生成AIにより生産性が向上するといった期待が高まるなか、弊害への懸念も強まっている。開発や事業化に携わる人たちは社会的な責任の大きさを自覚し、自らを律する必要がある。

2015年に発足したオープンAIは人類への貢献をうたい、過度の利益追求を避けるためにNPOの形態を採った。NPOの理事会が経営権を握り続ける一方、傘下の営利企業が米マイクロソフトなどから出資を受けて急成長を遂げた経緯がある。

解任を主導したNPOの理事はアルトマン氏のコミュニケーションが率直ではなかったと説明しただけで、具体的な理由は明らかにしていない。開発を加速した同氏と安全性を重視してブレーキを踏むことを求めた一部の理事が対立したとの見方が浮上しているが、事実関係は不明だ。

生成AIの安全性をどう確保するかは大きなテーマで、オープンAIに限った問題ではない。同社は社内調査を実施する考えを示している。関係者は調査に協力し、真相を明らかにすべきだ。

騒動では資本・業務提携するマイクロソフトや、アルトマン氏の解任に抗議して退職の意向を示した社員の存在感の大きさも浮き彫りになった。多様なステークホルダー(利害関係者)の意見を経営に反映できる企業統治の仕組みを整えることも急務になる。

生成AIの規制をめぐる議論が世界各地で進み、米国では安全確保などを柱とする大統領令にバイデン大統領が署名した。議会では立法の準備も進む。当事者が自らを律することができなければ規制が厳しくなり、技術革新の足かせとなりかねない。