バンブーズブログ

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航空機事故を防ぐために

[社説]人的ミスの事故防ぐ仕組みを
 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/10 19:00
 
運用再開した羽田空港のC滑走路(奥)と管制塔(8日)=共同
東京・羽田空港で起きた航空機の衝突事故で、国土交通省が緊急対策をまとめた。管制官と航空機間の伝達を見直し、滑走路上の監視体制を強化するという。再発防止の最初の一歩だ。

事故は人的ミスが重なって起きた可能性が高まっている。緊急対策を着実に実行するとともに、ミスをカバーする二重三重の安全網を構築せねばならない。

国の運輸安全委員会の調査などにより、事故の状況が徐々に明らかになってきた。

管制官海上保安庁の航空機に滑走路手前での待機を指示したが、海保機は滑走路への進入を許可されたと誤認。さらに管制官は滑走路に入った海保機を見逃し、警告を発することなどはなかった。着陸しようとした日本航空機も海保機に気づかなかった。

緊急対策は▽海保機が離陸許可と誤認したとみられる「ナンバーワン」の用語使用をやめる▽滑走路への誤進入を防ぐレーダー監視人員の配置▽停止位置標識の視認性をより高める――などを打ち出した。

羽田のほか、成田や関西国際など主要空港で順次実施するという。効果を検証するとともに、これ以外にも有効な対策があればすみやかに導入してほしい。

国交省は中長期的な安全対策を検討する外部有識者の会議を来週にも立ち上げる方針だ。管制官パイロット双方に注意喚起するシステムなどを検討するという。

コミュニケーション不全が要因とされる事故は過去にも起きている。1977年にはスペイン領テネリフェ島の空港で航空機同士が衝突し、583人が死亡する惨事があった。静岡県上空の日航機ニアミス事故(2001年)は管制官の言い間違いが原因だった。

航空機の運航はなお人間の判断に頼る部分が大きい。だが、どれほど注意していてもヒューマンエラーは必ず起きる。そのことを前提に、ソフト、ハード両面であらゆる再発防止策を考える必要がある。安全対策にゴールはない。