バンブーズブログ

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[社説]ボーイング問題を他山の石に


 
 
#自動車・機械 #ビジネス #社説
2024/1/24 2:00
 
国家運輸安全委員会(NTSB)が公開した事故機の画像=AP
米西部で離陸直後の米ボーイングの小型旅客機から機体の一部が吹き飛ぶ事故が起き、影響が広がっている。米連邦航空局(FAA)が同型機の運航停止を命じ、事故機を運航していた米アラスカ航空だけで運休が2週間で1800便を超えた。

177人の乗員・乗客に大きなけがはなかったが、一歩間違えば大きな被害が出る可能性もあった。ボーイングと当局は原因究明や再発防止策を徹底すべきだ。

ボーイングの主力小型機である737MAXは2018〜19年に続けて墜落事故を起こし、あわせて350人近くが亡くなっている。同シリーズのMAX9で再び事故が発生した。

前回の事故は機体を安定させるソフトの欠陥が原因だったのに対し、今回は製造や品質管理に不備があったとの見方が強まっている。コスト削減のために外注を増やしてサプライチェーン(供給網)が複雑になったことや、リストラでベテランが手薄になったことが関係しているとの指摘がある。

日本の製造業もコスト削減とは無縁でなく、少子高齢化によりベテランの離職は差し迫った課題になっている。ボーイング問題を対岸の火事とせず、ものづくりの足元を見つめ直す契機としたい。

前回の事故でボーイングは、株主を過度に意識した経営や風通しの悪い社風が批判を浴びた。世界の航空機市場では再編が進み、同社と欧州エアバスの寡占になっている。競争が乏しく、おごりを生んだとの指摘も出ていた。

20年に就任した外部出身のデビッド・カルフーン最高経営責任者(CEO)は一連の問題の解決に取り組んできたが、不備はなかったのか。徹底した検証が信頼回復の前提となる。

経営における優先順位を取り違えたのは同社だけではない。日本でも現場軽視により苦境に陥った日本航空東芝などの事例がある。ボーイング問題を他山の石として、何を経営の中心に据えるか再点検すべきだ。