バンブーズブログ

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[社説]SOMPOは論より実行を


 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/27 19:00
 
記者会見するSOMPOホールディングスの次期CEOの奥村COO(左)と桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(26日、東京都新宿区)
自動車保険金の不正請求を繰り返した中古車販売大手ビッグモーターとの取引をめぐり、金融庁損害保険ジャパンと親会社SOMPOホールディングスに業務改善命令を出した。企業統治が問題視されており、SOMPOの桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)の辞任は当然だ。

損保ジャパンは不正の疑いを知りながら取引再開を急ぐなど、大口取引先であるビッグモーターへの配慮を重ね、結果的にビッグモーターの不正を助長した。不当に高い保険料を払うことになった一般顧客も存在する。金融庁は損保ジャパンの内部統制に「重大な欠陥」があると指弾した。

取引先に甘い顔をして収益を上げたい誘惑はどの企業にもある。それでも、法令や社会常識に照らして正しい行動に導くのが企業統治であり、経営者の責務だ。信頼を礎とする金融業は高い倫理観が求められるだけに、損保ジャパンの行いは極めて深刻だ。

より根深いのは、子会社が犯した問題を把握できず、放置したグループのガバナンス不全だろう。桜田氏は記者会見で「CEOとして私に一切の責任がないはずはない」と語り、3月末の退任後は顧問などに就かず完全に経営から退くと表明した。

桜田氏は14年にわたってグループ経営をけん引し、経済同友会代表幹事も務めた。CEOの交代を機にSOMPOの企業カルチャーをつくり直す必要がある。

SOMPOは祖業の損害保険の伸び悩みを受け、介護やデータなど新しいビジネスに力を入れてきた。グループのビジネスが多様になるのに併せ、「パーパス経営」を標榜するなど先進的なガバナンス論を打ち出した。形は整えても肝心の中身の実行が不十分だったのは残念というほかない。

損保ジャパンを含む損保大手4社がカルテルを結び、企業向け保険料をつり上げていた疑いも足元で浮上している。不祥事が相次ぐ業界のどこに問題があるのか、この際しっかり点検すべきだ。