バンブーズブログ

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[社説]ローソンTOBの期待と課題


 
 
#社説 #オピニオン
2024/2/10 2:00
 
ローソンはKDDIを大株主に迎える
KDDIが約5000億円を投じてローソンにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。TOBが成立すれば、三菱商事とともに50%の株式を保有し、共同経営で進める。

2社で展開する約1万6800店のリアル店舗と通信技術を融合した次世代型のコンビニエンスストアを構築するのが狙いだ。異例の資本業務提携で人口減社会をにらんだ新たな試みとして期待も大きいが、課題もある。

ローソンは筆頭株主三菱商事が50.1%を出資し、社長も派遣する。4月にもKDDITOBを実施。実現すれば、ローソンは両社の持ち分法適用会社になり、ローソン株は上場廃止となる。

コンビニエンスストア東日本大震災以降、社会インフラとしての評価が高まり、急成長した。しかし近年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限も重なり、出店ペースは低下している。

この結果、店舗間競争が緩和し、足元の売上高、利益ともに好調だ。しかし人口減に伴う国内市場の先細りや人手不足は深刻で、今後の成長戦略は見通しにくい。

コンビニにとって今後重要になるのは無人レジや商品発注機能のデジタル化など店舗運営の最適化だ。このほか本格的な無人店舗作りやデリバリー機能の拡大、ドローンによる遠隔地配送など顧客との新たな関係作りがカギを握る。

従来の小売りにはない知見が欠かせず、KDDIとローソンという異業種の連携の方が他社より先手を打てる可能性がある。顧客や地域社会にとってより便利なコンビニを創ることを期待したい。

一方で今回の資本関係に不安も残る。三菱商事は出資比率を下げるが、共同経営にあたるKDDIが小売りで主導権を握ることは難しい。従業員や取引先にとってはどこが主体となり、経営をかじ取りするか、分かりにくさも残る。

KDDIは自社の株主に対して、単なる業務提携ではなく、巨額の資金をあえて投じる理由を説明する必要もある。