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内需復調へ企業は賃上げと事業効率化を

[社説]内需復調へ企業は賃上げと事業効率化を
 
 
#社説 #オピニオン #経済
2024/2/15 19:05
 
賃上げが内需の復調に結びつくか(団体交渉の席に着く日本製鉄の労働組合側㊧と経営側、9日、東京都千代田区)=共同
日本経済は内需主導の成長軌道に乗り切れず、足踏みを続けている。2023年10〜12月期の実質経済成長率は前期比で2四半期連続のマイナスとなった。

企業収益は堅調なのに、物価高や資材高のあおりで個人消費や設備投資になかなか波及しない。人手不足も投資を抑えつける。企業は積極的な賃上げや事業の効率化を着実に進め、息の長い内需の復調へとつなげてほしい。

内閣府が15日発表した実質国内総生産GDP)の速報値は季節調整済みの前期比の年率換算で0.4%減った。市場予想は1.0%前後のプラスだった。

実質GDPの落ち込みは7〜9月期の3.3%減からは縮小したが、2期以上連続でのマイナス成長は18年の後半以来だ。名目は1.2%増とプラスに転じたものの、物価高の圧力が弱まりつつも残り、実質ではマイナスが続いた。

内需の停滞が目立つ。個人消費と設備投資はともに3期連続で減った。消費は長引く物価高で人々の節約志向が根強い。企業の設備投資は各種調査では強気の計画を保つが、資材高や人材不足で遅れが出る例も多いとみられる。

焦点は堅調な企業収益を内需にどう結びつけるかだ。今年の春季労使交渉では昨年以上の賃上げを予想する声も多い。人々が「物価超えの所得増」を確信し、消費意欲を高められるかがカギを握る。

人手不足が成長の足かせになる影響も見逃せない。企業は業務の効率化に加え、一人一人の技能向上を強力に支援すべきだ。労働力が生産性の高い分野へと移りやすくなるよう労働市場の改革や企業再編を促す仕組みも欠かせない。

23年通年でみた名目GDPは過去最高を更新し、600兆円の大台まで8兆円あまりに迫った。実質GDPは前年比1.9%増と、内閣府が推計する潜在成長率の0.7%を大きく上回った。

一方で23年のドル建ての名目GDPはドイツに抜かれ、世界4位に後退した。円安でドル換算値が目減りしたためだが、長期の経済停滞が影響した面も否定できない。経済の構造改革を通じ、生産性を高める契機とすべきだ。

日銀は賃金と物価の好循環をにらみつつ、マイナス金利政策の解除の機を探る。賃金や消費の動向に加え、設備投資の遅れが続くうちに企業が計画自体を縮小させないか、歴史的な政策判断を前に丹念な情勢分析に努めてほしい。