バンブーズブログ

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[社説]企業は堅調収益テコに成長生む戦略を


 
 
#社説 #オピニオン
2024/2/19 2:00
 
任天堂の決算は知的財産で稼ぐかたちをみせた(オンラインで記者会見した古川俊太郎社長)
上場企業の収益が堅調だ。円安が自動車など輸出企業の利益を押し上げているほか、値上げや商品の見直しで採算が改善した企業も底堅い日経平均株価が34年ぶり高値となり最高値に迫るのも、企業の好業績を映している。

一方で2023年10〜12月期の国内総生産GDP)が2四半期連続でマイナス成長になるなど、国内経済は力強さに欠ける。利益成長を今後も続けるためにも、企業は将来を見据えた成長投資と働き手に報いる賃上げで、好循環をつくる役目を果たしてほしい。

日本経済新聞社東証プライム市場に上場する3月期決算企業について、24年3月期通期の業績予想を集計した。金融を含む全体の純利益は43.5兆円と前期比13%増える見通しで、3期連続で最高益となる。期初時点の集計から3.5兆円上振れしている。

際立つのが自動車の増益だ。トヨタ自動車は従来予想から5500億円上方修正し、今期純利益が4.5兆円になる見通しだ。円安に加え、採算のいいハイブリッド車が好調で現地の値上げも進んでいる。ホンダやSUBARUも純利益の積み増しを見込む。

もっともトヨタの場合、子会社のダイハツ工業で品質不正問題が起きた。好業績に緩むことなくグループ経営を引き締めるべきだ。

任天堂は「スーパーマリオ」の映画など知的財産を生かして世界で稼ぐ姿を見せた。金利が上昇に向かい、銀行など金融に増益が広がっているのも変化だろう。

内需では、新型コロナウイルス禍後の経済再開や訪日外国人の増加が追い風になっている。一方で人手不足や原材料高が続き、値上げや採算を高める商品構成にできるかで収益差がつく局面だ。

半面、電機や資源関連で減益になる企業が相次いでいる。電子部品など中国向けの冷え込みが影を落とし始めた。中国経済の行方を注視しておきたい。

世界ではアップルやマイクロソフトが巨額の利益をあげる。企業は次の成長の芽となる設備投資や研究開発を怠ってはならない。M&A(合併・買収)も選択肢になるはずだ。持続的な成長へ有効な資本配分を考え、そのうえで必要なら株主に還元すべきだ。

企業決算が好調で株高が進む一方で、家計の景況感との温度差を指摘する声は多い。企業が着実な賃上げに取り組み、内需の復調につなげる流れを太くしたい。