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この政倫審では裏金の実態解明できません

[社説]この政倫審では裏金の実態解明に程遠い
 
 
#社説 #オピニオン #自民政治資金問題
2024/3/15 2:00
 
参院政倫審で弁明する自民党の世耕前参院幹事長(14日午前)
参院政治倫理審査会が14日に開かれた。衆参両院の質疑を経ても自民党の裏金問題の実態解明は進まず、派閥幹部らが説明責任を果たしたとは言いがたい。政倫審での追加の審査と並行し、国政調査権に基づく参考人招致なども検討すべき段階にきている。

参院政倫審の実質審査は初めてで、自民党安倍派に所属した世耕弘成参院幹事長、西田昌司氏、橋本聖子氏が出席した。参院政倫審は8日に収支報告書の不記載があった32人全員を審査対象にすると全会一致で議決した。出席が3人にとどまったのは残念だ。

世耕氏は安倍派の政治資金パーティー収入の還流の仕組みについて「関与したこともなければ報告、相談も受けていない」と強調した。改選を控える参院議員に全額を還流する運用に関しても「いつからあったのか、誰が決めたのかも分からない」と述べた。

安倍派の資金還流は2022年4月に故・安倍晋三元首相が中止を指示したが、死去後の同年8月上旬の幹部協議を経て継続された。その経緯の解明も焦点だ。

同協議に出席した塩谷立氏は1日の衆院政倫審で「話し合いの中で継続になった」と明かした。西村康稔氏は「いろんな意見があったが結局結論は出なかった」と述べ、食い違いがみられた。

世耕氏は「私が出席している場で還流が決まったり、私が了承したというようなことは一切ない」と今回言明した。資金還流を誰がいつ始めてルールを定め、22年の中止はなぜ見送られたのかなど、疑問は何一つ解消していない。

衆院で野党は不記載が見つかった51人全員の政倫審での審査を求めている。安倍派幹部だった下村博文氏は18日の出席が固まったが、萩生田光一政調会長二階俊博元幹事長をはじめ他の幹部も早期に質疑に応じるべきだ。

自民党派閥の裏金事件では、不記載額が特に大きかった国会議員3人と安倍、岸田、二階3派の会計責任者が立件された。一方で安倍、二階両派の幹部は衆参の政倫審で「秘書にすべて任せていた」と繰り返し、党による関係者の処分も先送りされたままだ。

野党は1998年以降に断続的に派閥会長を務めた森喜朗元首相の聴取を求めている。自民党は森氏の証言や記録の提出に積極的に応じるべきだ。全容をまず徹底解明し、再発防止に向けた法改正の議論を加速する必要がある。