配信 2024年3月19日 21:13更新 2024年3月19日 21:23
東京新聞
日銀は19日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策を修正し、各銀行から預かったお金の一部に0.1%の手数料を課す「マイナス金利」の解除などを決めました。日銀が利上げするのは2007年以来となります。金利がゼロを上回る「金利のある世界」が間もなく視野に入ってきますが、経済や生活にどう影響を与えるでしょうか。(大島宏一郎、白山泉)
◆今回の決定で住宅ローンへの影響わずか
Q 主な暮らしへの影響は何ですか。
A 今回のマイナス金利の解除では、住宅ローン金利などへの影響はわずかとみられます。ただ、今後も金利を上げていく場合、住宅ローンの金利も上がりそうです。
ローン利用者の約7割が選ぶ変動型はマイナス金利解除の影響が及ぶ「短期金利」と連動しています。利上げで市場からお金が減ると、銀行同士が市場で資金を調達する際のコストが増すため、変動金利が上がりやすくなります。企業への短期の貸出金利も上昇する可能性があります。
◆預金の金利は上がる可能性も
Q 利上げにメリットはあるのでしょうか。
A 預金金利が上がりそうです。銀行は貸し出しで金利収入を稼ぎやすくなるため「ビジネスの原資である預金を集める」(メガバンク幹部)必要がでてくるからです。早速、三菱UFJ銀行などは、普通預金の金利をこれまでの20倍に当たる0.02%に引き上げると発表しました。マイナス金利導入後に下げられた預金金利は「前の水準に戻る」(エコノミスト)可能性があります。
◆経済の状況を見れば大幅な利上げは困難
Q 金利はどうなっていくのでしょうか。
A 日銀の内田真一副総裁が2月の講演で「マイナス金利を解除しても、どんどん利上げしていくようなパス(道筋)は考えにくい」と語り、24カ月先の政策(短期)金利を「0.5%になる」とする金融市場の予想資料を示しました。日本経済研究センターがエコノミスト37人から聞き取った「ESPフォーキャスト」でも、政策金利について24年末、25年末ともに0.0~0.1%との回答がもっとも多く、日本経済の状況を考えれば大幅な利上げは難しいとみています。