バンブーズブログ

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海自ヘリ事故の究明に全力を

[社説]
 
 
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伊豆諸島・鳥島東方の太平洋上で20日海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落する事故が起きた。

計8人が搭乗し、収容された隊員の死亡が確認された。まずは行方不明者の捜索に全力を挙げるとともに、事故原因の究明を急がねばならない。

防衛省や海自によると、墜落したのは哨戒ヘリコプター「SH60K」で、潜水艦を探知する夜間訓練中だった。2機が空中で衝突した可能性がある。機体の異常などは確認されていないという。

海自は事故調査委員会を設置した。今後は機体主要部の回収やフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析が焦点となる。木原稔防衛相は陸海空の各自衛隊に航空機の安全管理徹底を指示した。

懸念されるのは、自衛隊機の事故が続いていることだ。2023年4月には沖縄県宮古島付近で陸上自衛隊のヘリが墜落し、幹部を含む10人が死亡した。21年には夜間訓練中のヘリ同士が接触する事故も起きている。

深刻な事故が相次ぐ事態を、自衛隊は重く受け止めねばならない。過去の教訓が生かされなかったのか。訓練の内容や頻度が適切だったかを含め、徹底的に検証する必要がある。

今回の事故は陸地から遠く離れた洋上で起きたとはいえ、基地周辺住民らの不安は大きいだろう。自衛隊に対する国民の信頼にもかかわる。防衛省と海自は調査の進捗などについて、丁寧に説明してほしい。

海に囲まれた日本の防衛にとって、周辺海域の警戒監視が重要であることは言うまでもない。海洋進出を強める中国は近年、潜水艦の能力向上を図っている。日本は対潜水艦の哨戒能力に優れるとされるが、こうした脅威に対抗するために訓練を強化してきた。

そのさなかに起きた今回の事故である。同型機の訓練飛行を見合わせるなど影響は小さくない。安全保障の観点からも、一刻も早い原因の特定と再発防止策が求められる。