バンブーズブログ

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ウクライナ支援を継続してほしい

[社説]停滞許されぬウクライナ支援
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/25 2:00
 
ウクライナのゼレンスキー大統領(写真㊧)が訴えてきた米国の支援が週内に再開する=AP
年明けから止まっていた米国のウクライナ支援が週内にも再開する。米議会の上下両院で関連の予算案が可決され、バイデン大統領の署名で成立の運びとなったのは一歩前進だ。すみやかに実行に移し、ウクライナが反攻の態勢を立て直す契機としてほしい。

ロシアによる蛮行を食い止め、法の支配に基づく国際秩序を取り戻すためにも、国際社会は支援をこれ以上停滞させてはならない。

米国のウクライナへの軍事支援は予算が底をつき、2023年末に中断した。下院で野党の共和党の一部が不法移民対策を優先すべきだと主張し、支援のための予算案が半年ほど宙に浮いていた。

この間にウクライナの弾薬不足は深刻になり、東部でロシアの占領地拡大を許した。最大の支援国にもかかわらず、内政の事情でこのような事態を招いた米国の責任は重大と言わざるを得ない。

打開のきっかけは支援に反対してきたトランプ前大統領が容認に転じたことだ。ジョンソン下院議長はその意向をくみ取り、無償で提供してきた支援の一部を返済義務のある融資に切り替えた。財政規律を重んじる共和党に配慮する案で、民主党も受け入れた。

私たちは民主、共和両党にウクライナ支援で接点を見いだす努力を呼びかけてきた。今回、それぞれが譲歩して歩み寄ったのは政治の知恵でもあり、評価できる。11月の大統領選を前に分断が深刻になっているとはいえ、世界の安定を左右する懸案には、これからも超党派で取り組むべきだ。

ロシアは5月にも大規模な攻勢をかけるとの観測もある。ウクライナを後押しする機運を高めなければならないときである。

北大西洋条約機構NATO)は複数年にわたって支援する構想を打ち出した。15兆円規模の基金を設け、5年間の長期支援をする案が取り沙汰される。実現には全加盟国の同意を要するが、慎重な国もある。継続的なウクライナ支援に道を開く措置の早期実現に努めてほしい。