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米中はロシアの侵略とめる責任果たせ

[社説]米中はロシアの侵略とめる責任果たせ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/27 19:05
 
ブリンケン米国務長官(左から2人目)と会談する中国の習近平国家主席(中央)=26日、北京の人民大会堂新華社=共同)
バイデン米大統領習近平中国国家主席が、米カリフォルニア州で衝突回避に向けた意思疎通で合意してから5カ月がすぎた。高レベルの米中対話の継続を評価したい。問題はその後も欧州や中東で戦争・戦闘が激化し、犠牲者も増えている由々しき事態だ。両大国は世界を安定に導く責任がある。それを忘れてはならない。

ブリンケン米国務長官は訪中で習氏や共産党政治局メンバーの王毅外相と会談した。米側が強く求めたのは、軍事転用できる部品、技術の対ロシア輸出停止だ。中国の対応次第で追加制裁を含む対抗措置を辞さない方針を伝えた。

米側は工作機械、マイクロ電子技術、弾薬やロケット燃料に不可欠な材料について、中国がロシアに対する最大の供給源だと指摘している。ロシアの防衛産業の底上げは、ウクライナ侵略の後押しになるという論理である。中国側は「正常な経済貿易交流への根拠なき非難」と反発する。

だが中ロ両国は軍事面を含む緊密な関係にある。中ロ貿易もウクライナ侵略後、最高水準に達した。これはロシア支援といわざるをえない。一方的に侵略し続けるロシアの非人道的な行動を阻むには、中国の建設的な役割が欠かせない。中国は自らの国際的イメージも悪化させる対ロ支援をとめる具体的な手立てを示すべきだ。

パレスチナ自治区ガザでの衝突に端を発する危機拡大の防止も重要だ。中国には、イランやその代理勢力に影響力を行使できる余地がある。中国はエネルギーの多くを中東に依存する。同地域の安定は米中共通の課題でもある。

ブリンケン氏は、台湾海峡の平和と安定の重要性を訴えた。同時に「台湾独立は支持しない」とも伝えている。中台双方に自制を求めたのは、5月20日に予定する台湾次期総統の就任式を前にした微妙な時期に、緊張を高めない知恵である。

5月を見据えた国際政治のもうひとつの焦点は、ブリンケン訪中でも取り上げられた中ロ関係だ。ロシアのプーチン大統領は5月にも訪中するとの報道がある。

次の中ロ首脳会談で、軍事面を含む緊密な協力関係を再び誇示するだけなら、世界はますます不安定化し、戦争・戦闘の犠牲者が増え続ける。中国として、ロシアのウクライナ侵略をとめる責任を果たす気が本当にあるのか。世界が注目している