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《株主総会》では企業の説明する力が問われる

[社説]企業は増える株主提案に結果で応えよ
 
 
#株主総会 #社説
2024/6/12 2:00
 
株主総会では企業の説明する力が問われる
利益還元や取締役の選任などに関する株主提案を受ける企業が増えている。多くは「アクティビスト」と呼ばれる物言う株主からのものだが、個人や伝統的な資産運用会社が賛同できそうな内容も少なくない。企業は株主の声に真摯に耳を傾け、業績や株価などの結果で応えるべきだ。

企業統治コーポレートガバナンス)改革の起点である「ガバナンス・コード」の適用から、今年6月で10年目を迎えた。三菱UFJ信託銀行の集計によれば、6月総会の株主提案を受けた企業数はこの10年で3倍に増え、2024年は91社と過去最高を記録した。議案数も336件と昨年に続き、最高水準にある。

企業と株主の対話を促したガバナンス改革は、一定の目的を果たしつつあるといえる。今後も企業は資本市場の圧力から逃げず、収益力を磨いてほしい。

何よりも企業に必要とされるのは、株主への説明責任を果たす力を高めることだ。

取締役の交代を提案されたダイドーリミテッドは、対抗策として現取締役の大半の退任と独自の新候補を提案した。こうした経営の選択に関わる対立にも企業は向き合わなくてはならない。総会で信を問うのであれば、候補者の適性に関する丁寧な説明が要る。

利益還元を求める声は相変わらず多い。昨年の株主総会に続き、米ファンドから自社株買いを提案された戸田建設は「内部留保資金については成長投資に優先して充当する」として、反対を表明した。投資の中身や収益化の見通し、資本効率改善への道筋に関する説明力が試されている。

見逃せないのは10年にわたるガバナンス改革を経て、多くの資産運用会社が議決権行使の基準を厳格化している点だ。

例えば、アセットマネジメントOneは取締役選任の判断材料のひとつとして、株価騰落と配当による「株主総利回り」を加えている。株主にとっての経営の具体的な成果を求めたものだ。「社外取締役比率3分の1以上」といった形式だけにこだわる企業は、賛成を得にくくなる。

株価などの結果を求める一般投資家の利害は、個人も含め、アクティビストと一致する場合が多い。経営に口を出さない持ち合い株主は減少の一途だ。企業には例年にもまして強い緊張感をもって株主総会に臨んでもらいたい。