バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

ウクライナ和平への第一歩に

[社説]ウクライナ和平への第一歩に
 
 
#ウクライナ侵略 #社説
2024/6/18 2:00
 
16日、スイスで開かれた「世界平和サミット」で記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領=ロイター
ウクライナが唱える和平案を話し合う「世界平和サミット」の初会合が15、16の両日、スイスで開かれた。十分な成果があったとはいえないが、ロシア軍の占領地からの全面撤退と早期和平の実現に向けた第一歩としたい。

平和サミットには90カ国以上の代表が出席したものの、ロシアは招かれず中国などは参加しなかった。発表した共同声明は幅広い賛同を得るため、食料安全保障の強化など3つの柱に絞らざるをえなかった。直接のロシア非難が盛り込まれなかったのも残念だ。

それでも共同声明で、国際法の根幹である「ウクライナを含むすべての国の領土保全」の尊重を確認したことは評価できる。国際社会が今後、ロシア軍への撤退圧力を強めるための手がかりとなる。

共同声明には、すべての関係国が参加し、対話をする必要があることも明記した。次回以降の協議には必ずロシアを参加させ、実効性のある和平案の策定につなげなければならない。

ただ、今回の平和サミットでは和平実現に不可欠な国際社会の結束を示せたとはいいがたい。グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の代表格であるブラジルやインドをはじめ10カ国以上が共同声明への署名に応じなかった。

こうした国の多くは、中ロなど新興国がつくる多国間の協力組織BRICSの加盟国、または加盟希望国だ。BRICSは米欧主導の既存の国際秩序に修正を迫っており、平和サミットでも双方の間の溝が浮き彫りになった。

中国やブラジルなどは、戦況で優位に立つロシアに配慮した仲介案も提示している。力で国境を変更しようとするロシアの暴挙を容認することになりかねず、強い懸念を覚えざるをえない。

ロシア軍を全面撤退に追い込むには国際的に孤立させる必要があり、カギを握るグローバルサウスに対ロシアで結束を促すことが急務だ。日本政府は同じアジア太平洋の新興国の支持を固めるために主導的な役割を果たすべきだ。