バンブーズブログ

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先物でコメの供給の安定を

[社説]先物でコメの供給の安定を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/6/28 2:00
 
コメ先物に期待されるのは生産と消費の安定だ
コメの先物の上場が実現する。政府は堂島取引所(大阪市)が申請していた指数先物の本上場を認可した。生産者や流通業者は先物で米価の変動リスクを抑え、供給の安定に役立ててほしい。

先物取引の対象となる指数は、農林水産省が発表する「相対取引価格」などをもとに算出する。相対取引価格はJAグループなどとコメ卸との間の取引の平均値で、米価の動向に関する指標の一つとして活用されている。

先物は将来取引するモノや指数の価格をあらかじめ確定するための取引だ。農産物の場合、異常気象など想定外の出来事で相場が大きく変動し、損失が生じるのを回避する役割が期待される。

コメの先物はかつて新潟のコシヒカリなどが試験上場されたが伸び悩み、廃止になった経緯がある。今回は米価の動向全体を映す指数先物なので幅広い参加を見込めるとし、認可にいたった。8月に取引が始まる。

米価に影響する要素は様々にある。消費が減り続け、恒常的に下落圧力がかかっている。最近は猛暑などの気候変動やパンデミックのリスクが重なり、米価の先行きが不透明さを増している。

生産と消費の双方にとって求められるのが価格の安定だ。米価が生産コストを大きく下回ったり、小売りや外食の収益を圧迫する水準まで高まったりすれば、持続可能性に黄信号がともる。

先物に期待されるのは、こうした事態を防ぐ役割だ。関係者が不測の事態に備えて取引に参加し、損失が膨らむのを防ぐ。その目的にかなうよう、活用の仕方を模索してみるべきだろう。

併せて追求すべきなのが、生産性を向上させ、米価の下落への対応力を高めることだ。農家の間には高米価を望む声が根強い。だがその結果、消費がさらに減ってしまえば逆効果になる。

農地の集約や技術の向上で生産効率を高める余地はある。それらを進めながら、先物をコメの安定取引に生かしてもらいたい。