バンブーズブログ

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異常気象にも柔軟に対応できる稲作の実現を

[社説]米価抑制へ猛暑対策を全力で
 
 
#社説 #オピニオン
2024/5/29 2:00
 
猛暑に備えて米価の上昇を抑えるのが急務になっている
コメの値段が上がっている。2023年の猛暑で流通量が減った事情などが響いた。24年は関係者が連携しながら夏の高温の影響を和らげて、米価が上がるのを防いでほしい。

JAグループなどとコメ卸の23年産の取引価格は22年産より約1割高い。スーパーでも割安のコメが減るなど影響が出始めている。猛暑によって一部でコメ不足が生じたうえ、外食や小売りの堅調な需要も重なったとみられる。

主食であるコメの値上がりは家計の新たな重荷になる。このまま上がり続ければ、販売にもマイナスの影響がでる可能性がある。

米価の上昇を食い止めるうえで大切なのは、自治体や研究機関、農業団体、先進農家などが24年産の被害を防ぐ取り組みである。

まずは栽培の基本を徹底することから取り組むべきだ。23年の猛暑でも水をきちんと管理し、適切な時期に追加で肥料をやることで品質や収量の低下を防いだケースがある。

暑いさなかの作業負担を軽くするためにドローンで肥料をまいたり、センサーで追肥のタイミングを見計らったりするのも重要になる。スマート農業の技術を積極的に活用するのが望ましい。

中期的なテーマは品種の見直しである。新潟県ではコシヒカリの被害が深刻な一方、新しい銘柄の「新之助」は影響を受けなかった。暑さに強い品種を増やし、弱い銘柄は高温への耐性を高める品種開発を進めるのが大切だ。

天候不順でコメが足りなくならないよう、生産量に余裕を持たせるのも今後の課題になる。国内は人口減少と高齢化で消費が減り続けているので、需要を見定めながら輸出を増やすことも視野に入れるべきだろう。

猛暑でコメの生産が揺さぶられる状態は、食料安全保障にとってリスクになる。高齢農家の引退で、稲作経営は急速に規模拡大が進みつつある。この変化を、異常気象にも柔軟に対応できる稲作の実現につなげてほしい。